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任侠と女たち
【調教 官能小説】

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その1-3

この店は、美奈子が元経営者の女から譲り受けたのである。
美奈子自身もこの店で働いていたが、
その女が事情でこの店を手放すことになり、美奈子に譲ったのだ。

その頃は、店に美奈子以外に3人ほど女が雇われていたが、
或る日、3人とも駅向こうのスナックに引き抜かれていった。
それに比例して客の出入りが少なくなった。

売り上げが減り、ママはやる気をなくしたようである。
美奈子が変わってからも、あまり客の入りはよくない。

その美奈子には以前に美形の夫がいたが甲斐性がなく
ブラブラしていて真面目に働こうと言う気がない男だった。
そんな夫にうんざりさせられていた。
故に、こういう少し知性的な雰囲気を持つ男に心惹かれていた。

その時、入り口のドアがバタンと荒々しく空いた。
誰かが入ってきたようである。
思わず皆、その入り口の方に目を向けた。

そこに立っているのは2人組の男だった。
ジロリと鋭い目で店内を見渡している。
派手なシャツを着て、首からはチャラチャラとしたネックレスをつけている。

見るからに柄の悪そうなその男達が、
店の中を覗き込むようにしてカウンターにやってきた。

「さっき健次が女と来たらしいが、いるのかね?」
「もう帰りましたよ」
「どこへ行った?」
「さあ……」
「あの野郎、今度見つけたら痛い目にあわせてやらな、なあ」
その男は、連れの男にニヤリとした顔で言った。
「そうともさ」

「ところで儲かっているかね?」
「見ての通りですよ」
「ふーん、でもそこそこに客が入ってるじゃねえか」

男は額に皺をよせ、陰険な顔して睨み美奈子を威嚇する。
それでも美奈子は気丈に振る舞っていたが、心の中は穏やかではない。

男が足元の椅子をいきなり蹴り上げた。
椅子はバタンと大きな音をさせ横に倒れた。

美奈子は男を睨みつけるようにして黙っていた。
そんな気まずい雰囲気を察したサラリーマン風の男達は、
そこそこに立ち上がり、
会計をすまして店から出て行った。

「ありがとうございました。またお越し下さい」
「では、また……ママさん」
ヤクザな男を避けるようにして二人は店を出ていった。

片隅で一人酒を飲んでいた男は、微動だにせず相変わらずチビリと飲んでいる。
ヤクザな男は、チラリと彼を見た。
この状況にも動じない男がいるのかと思い、鼻でせせら笑う。

「儲かっているなら、俺らにもご馳走しても良いよな」
頬に傷痕があるその男は凄味をきかせた。
こんなたかりをするのは、下っ端ヤクザのやることである。

「そ、そんな……」
「そこのレミーマルタンを飲ましてくれ」
「あ、でもこれはお客様のキープボトルですから」
「うるせえ! 俺らに飲ませる酒は無いってぇのか……」
「いえ……」


トクトクと琥珀色の液体がグラスの中に注がれていく。
二人の男達はそれをぐいとばかりに、2、3杯を喉に流し込んだ。

「さて、帰るか……ママさん、俺らにもこずかいをもらっていこうかな」
「えっ……」
「あいつらにやって、俺たちにくれない手はないだろう!」
ていのいい言いがかりである。

「あの、そんなことはしていません」
「なにっ!」



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