その2-1
高校の体育館は異常な熱気に包まれていた。
AV女優の紫彩香がその高校に呼ばれたのは、
政令による性指導の一環という名目だった。
この政令により、全国的にこの運動が推し進められた。
内容が内容だけに、国会においても当初は賛否両論の意見が出たが、
人口減少に伴う対策として、
これが人口増加に有効だと認められていたからである。
さらには、この時期に女性からの要望が多い性の解放が叫ばれていた。
こうしたことは時代の流れでもあり、
それは、女性が自らの意思で欲望を得たいと言う気持ちの現れである。
国会の採決に於いて、
結果的に賛成が圧倒的に多かったのは女性議員だった。
今までの男性社会から脱皮して「性の解放」を訴える女性も少なくない。
この運動によって、
今までは性的に表面に出てこなかった女性達の運動は活発になってきた。
これを端的に表現すると、
今まで男性中心の世界だったセックスや快楽を
女性が自らの意思で楽しもうと言う表れだった。
これらの運動によって性のモラルが低下し、
社会が乱れると言う心配をする人々がいたが、
その意見は少数意見となり次第に淘汰されていった。
かつてどこかの世界で、こう言うことが存在したことがあり、
歴史は繰り返されると言うことのようである。
その表れとして、女性から男性をホテルに誘うようなことも珍しくない。
かつての或る時期においては、ラブホテルを利用するカップルは
女性は目立たないように、男性の後に従っていたが
昨今では、それが逆になったことも否めない事実である。
さらに国民的にも快楽を求める機運が高まっていた。
生活が豊かになり過ぎると、
人間と言うものは退廃し、快楽を多く求めるようになる。
さて、その高校において授業の一環として、
AV女優の紫彩香が呼ばれたのは、全校生徒の前で性行為を見せることにより
正しいセックスやテクニックを身に付けさせたいと言う狙いがあった。
それを強烈に推し進めたのは、副校長の「あないたれ子」だった。
彼女のことについては後で述べることにする。