暑中お見舞い申し上げます-3
「私、どうしたら良いですか?」
何なりとお申し付けください、とでも言うように明奈は片桐の前にひざまずいた。握ってみようかな、それとも頬張ってみようかな、と小首をかしげながら考えをめぐらせる。
「今日の夕飯は何にしよう、みたいな顔してますね」
「んもう、いじわる言わないでください」
「ははは、やっと緊張がほぐれてきたようですね」
はにかんだあと、明奈は片桐の男性自身に手を伸ばした。かるく触れてみると皮膚の肉感が指につたわってきて心臓がどきどきする。
「かちんこちん」
「奥さん、口でしてください」
片桐の指示通り、明奈は髪を掻き上げながらフェラチオを開始した。竿の横に指を添えて、先端から半分ほどを口に咥えて頭を前後に揺する。
「お利口さんですね。よしよし」
片桐に頭を撫でられた明奈は口の中のそれを丁寧に丁寧に舐め回した。夫にはときめかないのに、相手が他人だと何故だか興奮して体の奥が疼いてくる。
そうだ、ズッキーニがあったんだ。明奈は床に落ちているおもちゃを回収し、それをスカートの中にくぐらせて下着越しに股間をもてあそんだ。ぞくっとする快感と共に喉の奥からあえぎ声が漏れてくる。
「奥さんのオナニーが見たいな」
言われるまでもなく明奈はフェラチオを続行したまま下着を脱いで陰部の周辺を念入りにこねくり回す。クリトリスと膣の入り口がすごく気持ち良い。おもちゃの角度を変え、そのまま膣内に挿入する。
「んっ!」
久しぶりに得る充実感。女の悦び。愛液の分泌が止まらない。ズッキーニを出し入れするたびにラブジュースが手首にまで滴り落ちてくる。
あっという間に快感が頂点に達しそうになり、明奈は片桐への奉仕もそこそこに腰をくねらせて快楽絶頂を果たした。
びくん、びくん、びくん──きらきらと汗ばんだ肢体が痙攣を伴って糸が切れたように垂れ下がる。まさかバイブオナニーでよがり狂うなんて、と明奈は吐き出した男根を見つめつつ唇を舐める。
「物足りないのなら、これを」
片桐が別の玩具をよこしてきた。肌に近い色をした男性器型のディルドというアダルトグッズだ。前から欲しいと思っていたけれど、実物を間近にするとあそこに入るかどうか心配になる。
「熟女さん向けのサイズですけど、素材が柔らかいのできっと奥さんを満足させてくれます」
それを聞いた時、男に飢えた女の穴がうごめくのを明奈は感じた。オーガズムが終わったばかりだというのに、もっとどろどろした快感が欲しいと体がおねだりしているのだ。
家の玄関の、しかも見ず知らずの紳士の目の前で明奈はディルドにまたがり、その先端と自分の割れ目をぬちゃぬちゃと馴染ませて下唇を噛むと、人妻とは思えぬ悩ましげな表情で少しずつ腰を沈めていった。
「はあ……、ああ……、んん……」
自分の意思で迎え入れたそれは凶暴なほど太く、それでいて女体のすべてを知り尽くしたような一体感があった。
「すごい……、入ってくる……」
体にめり込んでくる異物はやがて子宮にまで届き、明奈の下の口はよだれを垂らして縮れた陰毛をてからせている。ディルドは美味しいものなのだと明奈の脳が錯覚し始め、腰から下は別の人格が宿ったように淫らな動きで快感をむさぼる。
ディルドを中心に床に広がる愛液の水溜まり。あとで拭き掃除をしなきゃ、などと考えながら腰を上下させて明奈はふたたびオーガズムを得る。