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暑中お見舞い申し上げます
【フェチ/マニア 官能小説】

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暑中お見舞い申し上げます-2


 不破製作所から派遣された片桐という男性職員は、明奈以外の家族が不在だとわかるや否や目の色を鋭く豹変させ、まるで手品でも披露するかのようにバッグの中から怪しげな箱を取り出した。
「我が社で開発中の新商品です」
「はい?」
「ですから、まだ市場にも出回っていないとっておきの商品を、是非とも奥さんに試していただきたいんです」
 明奈は思案顔だ。化粧品や健康補助食品の類いなら間に合っている。
「試すだけなら、買わなくても良いってことですよね?」
「もちろんです」
 だったら、と明奈は片桐から商品の入った縦長の箱を受け取り、繊細な手つきでシールと包装を剥がしていく。箱を開けると黄緑色のキッチン雑貨のようなものが入っていた。
 さらに中身を手に取り、あらゆる角度から観察する。どうやら本体の下の部分を捻るとスイッチが入る仕組みらしく、小さな振動音と共になめらかな本体が小刻みに震え出した。
「すごい振動でしょう?」
 両手を揉みながら片桐が白い歯並びをのぞかせる。
「ええ。でもこれ、何に使うものなんですか?」
「お教えいたしましょう。じつはこれ、夫婦の夜の生活に潤いをあたえる、名付けてズッキーニというグッズなのです」
「ズッキーニ?」
 言いながら明奈は頬の火照りをおぼえた。夜の生活に潤いを、ということはこのズッキーニのかたちをしたバイブを体に挿入して夫婦の愛を深めよとでも言うのだろうか。
「大人のおもちゃに興味があるようですね?」
「あ、いいえ、そういうわけじゃ……」
「照れなくても大丈夫。もともと性欲は男性よりも女性のほうが強いんです。だって、たくさんの子孫を残すにはたくさんの精子が必要ですからね」
 確かにそうかもしれない、と明奈は妙に納得してしまう。エッチな話は学生の頃から好きだったし、どちらかと言うと早熟な女の子だったような気がする。
 自室のベッドで自慰をしていた時の記憶がよみがえってきて、太ももの内側にふしだらな微熱が灯る。下着の中もそわそわして落ち着かない。
「でもやっぱり、知らない人の前でするのはちょっと……」
「恥ずかしいですか?」
「恥ずかしいというか、主人に申し訳なくて」
「そういう貞淑な女性に限って浮気願望があったりするんですよね。妄想の世界で理想の男性に抱かれたり、秘密の監禁部屋でありとあらゆる調教を受けたり、ほんとうは刺激の少ない日常から抜け出したいと思っているのではないですか?」
「それは……」
 そう言ったきり明奈は肯定も否定もできなくなってしまった。ごくん、と生唾を飲み込むたびに淫らな気持ちが湧き上がってきて我慢できなくなる。
「わかりました。だったら僕が一肌脱ぎましょう」
 片桐は立ち上がり、明奈の見ている目の前で腰のベルトに手をかけると、ズボンとトランクスをいっぺんに脱いで下半身を露出した。
「きゃっ」
 明奈は咄嗟に目を逸らし、両手で顔を隠した。一瞬だったけれど見てはいけないものを見てしまったような気がする。足元に落としたズッキーニのおもちゃと同じくらい太くて長い片桐の逸品を。
「あ、あの、しまってください……」
 まるで高価な手土産を断るように明奈は丁重に対応する。
「そう言われましても、奥さんのせいでこんなに大きくなってしまったんですよ」
「私のせい?」
「そうです。奥さんがあまりにも綺麗で魅力的だから、こんなふうにおさまりがつかなくなってしまったんです」
「そんな……」
 明奈はおずおずと顔を上げて片桐のほうを振り向いた。彼の言う通り、勃起して天井を向いた男根がそこにあった。こんなに大きいのは見たことがない。
 
 


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