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エロティック・ショート・ストーリーズ
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純白の蝶は羽ばたいて(美少女、処女)-5

「あ、お母さん……」
 さすが親子と言うべきか。悠香とはタイプが違うが、かなりの美人だ。改札の前で佇んでいる。クリッとした大きな瞳が印象的だ。
「ご挨拶した方がいいかなあ」
「え……どうかなあ」
 悠香が気まずそうに躊躇いを見せたその時、彼女の母は大輪の笑顔を咲かせた。その視線の先には、やや白髪交じりの、しっかりとした体つきの男性が居た。にこやかに手を振っている。
「うわ、お父さんもいるのかあ。緊張するなあ」
 歩き出そうとした達也の手を、悠香が断固とした調子で引いた。
「どうしたの? まだ早いか」
 照れ笑いする達也の隣で、悠香は大きく首を振った。
「あの人、お父さんじゃない」
 顔をひきつらせる達也から手を放し、クルリと後ろを向く悠香。達也はひとつため息をつき、彼女の肩に手を置いた。そして囁いた。
「お母さんにもお母さんの人生があっていいんじゃないか。好きな人と一緒に居たいっていうのは、何歳になっても変わらないと思うよ」
 キッと達也を睨み付け、悠香は手を振り払った。
「そんなの、おかしい!」
「悠香ちゃん……」
「だって、お母さん、今でもお父さんと一緒に暮らしてるんだよ? 私やお兄ちゃんも一緒に。なのに、何であんな人と」
 達也は何も言えなかった。世の中にはそういうことが珍しくないと知っていても、それを許容できるほどには彼も歳を取り過ぎてはいなかったのだ。
「お母さんのことは嫌いじゃない。だから余計に、あの占い師が許せない」
 悠香は、駅とは反対方向に走り出した。手で顔を拭いながら。呆然と立ち尽くす達也。彼の足もとには、白い蝶の髪飾りが落ちていた。慌てて後を追ったが、ついに彼女を見つけることは出来なかった。


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