片山未来(25)・清原珠理(24)-1
片山修平はデザイン系企業経営者。
未来は大学卒業後、新卒でとある洋服屋に勤めていたのだが、そこで客として来ていた修平と出会った。
交際から半年でのスピード婚だったという。
六歳違いで、結婚当時は未来が二十四歳、修平が三十歳。
「それはアレか? 亭主野郎、焦って適当な女見つけて身を固めよう、みたいな?」
「亭主野郎言うな。……けど半分当たりなのかも。両親とか親戚とかに、かなり急かされてたみたいだし。でも真っ直ぐな人なんだよ」
「お前に一目惚れしてわざわざ通いつめてデートの誘いまで取りつけたんだもんな。女心としては、ちょっと胸キュンしちまったんじゃねえの」
「当たり前でしょ」
「金のありそうなカモと思ってキュンキュンしたか」
「サイテー。そういう言い方しか出来ないのぉ?」
亭主のリサーチをするべく未来に尋問。それは俺の部屋で、しかもベッドの中で粛々と執り行われた。
今や愛情を捧げる相手は亭主野郎こと片山修平でもなく、その眼を盗んで不倫セックスに興じていた年下男でもなく、俺だけという未来である。
一年半ほど夫婦生活を過ごした修平への想いは、いつなりと切り捨てて未練はないと断言する始末だ。
交際中は熱々でも、籍を入れ生活を共にするようになると、徐々に冷めてきてしまうものらしい。
特にセックスの頻度は、新婚三ヶ月あたりを境に激減したようで、未来から誘っても「疲れた」と修平は応じない。次第に未来のほうでも、アプローチし難くなっていく悪循環に陥った。
「そもそも相性イマイチなんだろ? 付き合ってる期間中には何回ヤッた?」
「そんなの覚えてないから!」
「一番重要な尺度だろ、そこは。結婚に踏み切る前にしっかり確認しておくべきだったと思うぞ」
寝っ転がり、着衣のまま身体をまさぐり合う俺たちだ。
未来はしきりと俺の胸をさすり、シャツ越しの乳首を指先で転がした。俺の感じている顔をまじまじ見つめて嬉しそうに眼を細める。
「だってぇ……亮介とするまでは、全然そういうの、分かんなかったんだもん。いいとか、悪いとか……」