悪魔とロリコン三十男-5
嫌がられないスカート捲りは、予想に反して面白くなかった。そこで、俺たちはトランプに興じて夕方まで過ごした。よく二人だけで続いたものだ。
久しぶりに俺は夕食を作った。コンビニ食でないのは数日ぶりのことだった。ワインはいつも通りのビオディナミだ。
「子供は飲むな。」
「子供じゃないって言うのに。」
ソラは聞かずに飲み始めた。
「あのさ、今日もお前、あたしとやる気なの?」
「また三十三回やる。」
「頼むからフーゾク行ってくれよ。よくこんな体で興奮できるな。いくらおっぱい吸ったって、巨乳にはならないんだぞ。」
「その体が好きなんだよ。ロリコンなの。」
「あたし、お前がアダルトサイトばっかり観てるから、ずっと大人の形の魂で誘惑してたんだけどな。時間がかかる訳だ。」
「誘惑って何なんだ?」
「堕落させること。自力で何にもできないように弱らせることだ。」
「もう、なってるだろ。お前の仕事は成功したよ。」
「廃人にしないと認められないんだ。」
「お前とセックスするのがやめられなくて、じきに廃人だよ。お前の全部が好きだからな。もうこれ以上、誘惑しなくていいだろ。」
ソラは何故か赤くなった。ワインのせいではなかった。
「だから、それだと股もおっぱいも擦り切れるって。あたしが先に廃人になっちゃうよ。」
そこへゴキブリが現れた。今日は二匹である。
「友達、連れてきたぞ。今、食べ物やるからな。」
「上司の奴め。」
「殺したりするなよな。」
「そんなことしたら、あたしが殺される。」
手ずからものを食べさせるのが嬉しかった。ゴキブリにまつわる評判の一切が、俺にはどうでもよい事だった。掛け替えのない存在、ただそれだけだった。餌をやりながら
「神様って、なんで出てこないの? お前みたいにこうやって、セックスできる美少女になって来てくれる悪魔のほうが助けになるじゃないか。」
「悪魔に聞くなよ。こっちは、向こうに近寄れもしないんだ。」
「誰か俺を幸せにしてくれないかな。」
「幸せって、何?」
俺は、会社でも一人で食事がしたいほうだし、友達とも一緒に食事をする趣味はない。食事中に喋るのも好きではなかった。その割に、今よく喋っている自分に俺は驚いていた。
「心の満足。ゴキブリとお前といるときの感覚は幸せだな。一生お前の便器として堕落してやるよ。」
「実体化したこの体じゃ絶対無理だろ。便器に一生腰かけたままの奴なんかいるか!今日のセックスだって、あたしのが持つかどうか分からないぞ。」
「でも断らないんだな。セックス、仕事なのか?」
「断ったら、お前が困るだろ?」
話がおかしくなってきた。
「まあ、今日は我慢する。お前に早く治ってほしいからな。体のにおいだけは嗅がせてくれ。大好きなんだ。足も腋も頭も、もちろんあそこも。」
ソラは恥ずかしそうに目をそらすと、ワインを飲んだ。