紅香語り(10)-3
それから‥‥。
「はぁー、いい湯ねぇー♡ ――あ、そうだ。お風呂ついでに言うけどさ」
白香お姉ちゃんは上気した顔で、わたしに海田くんとの一緒の入浴を勧めてきました。
「え‥‥えええっ? そ、そんなこと、恥ずかしくて‥‥」
「男は、そうすると大抵喜ぶよ。あと、水着サービスとか、下着サービスとかも♡」
「えっ、えっ、えええっ?」
わたしは、口ではそう言いながらも、そうしている自分を想像してしまっていました。特に、
(海田くんと、いっしょに、お風呂‥‥)
には、いけない妄想力が働いてしまいました‥‥。
湯船のなかで、海田くんはわたしをつかまえて、乱暴に、
「オラぁっ、紅香っ、イけっ! イくんだああーっ!」
と叫びながら、激しくバックから突きたてたり、するのでしょうか‥‥。
それとも、
「ほら、紅香、イっていいんだよ‥‥」
と優しく、でもやっぱりバックから、攻めてきてくれたりするのでしょうか。
いずれにせよわたしは、浴槽で彼がわたしのおっぱいを背後から鷲づかみにしている、そんな情景を思い浮かべていました。彼の指がこの――自分で言うのもなんですが――やわらかHカップに深く食い込んでいる様子を。わたしが乳房とアソコ、上下からの刺激で達してしまっている模様を。
彼は、海田くんは、どちらを望んでいるのでしょう。尋ねる勇気は、わたしには、ありません。誰か、教えてくれないでしょうか‥‥。
海田くんは、どういうシチュエーションが、好きなのでしょう。
普通のおつきあいみたいに、例えばお祭に一緒に行ったりするようなのを、望んでいるのでしょうか。わたしが浴衣を着て行って、ちょっと胸がはだけてしまった際に、
「あっ」
と言って赤面すると、彼もまた赤面するような‥‥(余談ですが、わたしは浴衣を着ても、おっぱいのふくらみが、はっきりとわかります。帯は、キュッとよりきつめに着用して行ったほうがいいのでしょうか。胸はもちろん、わたしがかがめば、いわゆるブラチラ状態になるように――)。
それとも、口に出しこそしないものの、わたしを、わたしたち蒲生三姉妹を散々縛ることで黒い淫靡な輝きを増してきているかのようなあの麻縄で、いわゆるまんぐり返しの状態に緊縛――固定して、じっくり眺めて、
「ほらほら、紅香のココ、もうグショグショだぞお‥‥」
なんて言葉責めするような変態プレイを、彼は心の奥底では望んでいるのでしょうか――(だとしたら、その状態でわたしは、着衣、つまりパンティーで大事なアソコを守っているのと、全裸で素直に全部をさらけ出しているのと、どちらが好みなのでしょう‥‥)。
(そして、水着、下着――)
わたしは、いつか本屋さんで見た、それらの姿の少女たちのライトノベル風の本――正確にはその表紙――を思い出していました。
(ああいう格好、海田くんに見せてあげようか‥‥)
わたしは、自分のその思いつきを、じっくりと考えてみることにしたのでした。