紅香語り(9)-2
お姉ちゃんは桃香のスマホを取り上げ、監視カメラを止め、それからひとりお風呂場でシャワーを浴びてきました。スマホの信号音らしきものが鳴りましたから、どうやらバイブレーターも抜いたようです。そして、反撃が開始されました。
「毎日が退屈で、さみしかったからぁ〜」
桃香は言いました。しかしお姉ちゃんは、相手にしませんでした。わたしは、桃香を弁護しようかとも思ったのですが、
「おフロでお姉ちゃんの爆乳を見てたら、ムラムラ変な気分になっちゃったのぉ‥‥」
と桃香が言い出したので、お姉ちゃんの手前、何も言えなくなってしまいました。
事実なのでしょうし、正直、わたしもあの爆乳には、何も思わなかったわけではないのですが‥‥。やがて、溶液はすっかり乾きました。白香お姉ちゃんがわたしを促しました。
ベッド上の桃香のおっぱい、より正確には頂点で揺れる可愛いお乳首へと、お姉ちゃんと、お姉ちゃんに言われたわたしは、左右から身を寄せました。すると桃香はそれだけで、少女らしい可憐なほっぺを思いきり羞恥に染め、次には泣きそうな顔になりました。左右のお乳をわたしとお姉ちゃんそれぞれに吸われると、わかったようです。「二山吸い」――。
やはり姉妹だからでしょうか、白香お姉ちゃんもこの同じ蜜儀を考えていたようです。もっともお姉ちゃんは、攻める側からの発想だったようですが‥‥。
桃香は、さぞ心細かったのでしょう。こう叫んだのでした。
「いやあっ、いやあっ。桃香の導入っ、いじめないでえっ!」
これを聞いた白香お姉ちゃんとわたしは、桃香の裸の胸の上で、顔を見合わせました。わたしは、桃香が抱えていたさみしさよりも、目の前の状態のほうが心配になってきていました。
「お、お姉ちゃん‥‥。桃香、頭打ったのかしら‥‥?」
わたしが不安になって、白香お姉ちゃんにそう聞くと、お姉ちゃんは首を小さく横に振って、
「いや、打ってない。ちゃんと見てたから大丈夫‥‥。――あの装置も、頭の言語中枢とかそういう部分には異常は出ないと、片桐さんも太鼓判を押してくれたし‥‥。たぶん、一時的に混乱してるだけじゃないかな」
と、わたしにも難しい言葉を使って、しかしはっきりと否定しました。わたしは、あらためてお姉ちゃんを頼もしく思いました。桃香は不安のあまり、かわいそうに、お姉ちゃんの言うとおり混乱してしまっているのでしょう。わたしは、できるかぎり優しく言ってあげました。
「ごめんね、桃香。あれがかわいいのね。――大丈夫。お姉ちゃんたち、あの導入くん――導入ちゃんかな――を、壊したりはしないからね‥‥」