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prank call
【その他 官能小説】

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2-5

「えーっと、リモコンリモコン……」


スチールラックのすぐ隣のシンプルなパソコンデスクの端にリモコンがいくつか並んでいた。


テレビ、エアコン、照明、そしてコンポ。


これまたシンプルなスツールに腰をかけ、コンポのリモコンを手に取りながら、俺はデスクの上に何やら殴り書きしたようなルーズリーフをチラリと見やる。


おそらく今回の作詞だろう。たくさんの単語があちこちに書き殴られていた。


みかげの書く詩は多岐に渡る。


社会情勢を謳ったり、家族愛や友情モノもあり、時にはおふざけめいたナンセンスなものもある。


だけど作曲する吉川からは、ラブソングの方が観客のウケがいいから恋愛に関する歌詞を書いて欲しいと頼まれることが多いらしく。


この殴り書きのルーズリーフに散らばる単語から見ても、今回もラブソングだろうと予測できた。


「なるほど、じゃあ吉川にダメ出しされるかもな」


ひとりごちながらルーズリーフを手に取り呟く。


ラブソングがダメと言ってるわけじゃない。


ただ、みかげが恋愛についての歌詞を書くのは大抵暗いから、今回の吉川のデモを聴く前でもダメ出しされたという経緯はなんとなく予想がついた。


みかげの書く詩はどうも幸せな恋愛ものより、片想いや失恋とか身体だけの関係とか、どちらかといえば恋愛のダークな部分をテーマにしたものが多い。


そう言えばアイツから自身の恋愛の話なんて聞いたことがないから、あまりそっちの方の経験は少ないのかもしれない。


とはいえ、結構鋭く核心を突いた言葉を使うこともある。


うーん、みかげは一体どんな恋愛をするタイプなのだろう。


ダークな恋愛観なら、結構いい詞を書くと思うのだが。


「……まずは吉川のデモ聴かなきゃ話になんねえか」


殴り書きのルーズリーフをそっと元に戻した俺は、リモコンの再生ボタンを押した。


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