マジックミラー-2
普段の幸宏ならそんな誘いには乗らなかっただろう。だが、彼は今、麗華の件で玲奈に少々腹を立てており、なおかつ、これ見よがしにさっさと江島と二人っきりになってしまった彼女への不信も広がっている。江島はつい先日、玲奈と体を重ねたばかりの相手なのだ。
「奥さんはね、江島とヤった女よ。今も真っ最中かも」
幸弘は、楽しそうに言う瞳美をいきなり抱き寄せて、唇を奪った。
そっちが江島に抱かれるのなら、こっちはこっちで瞳美と絡んで見せつけてやる、そんな気分だった。
「向こうも始まったな」
玲奈を後ろから抱きすくめている江島の右手は、彼女のスカートの中に入っている。その指先はパンティの中に差し入れられており、秘めやかな谷間の奥底を、ヌチャヌチャと湿った音をたてて蛇行しながら往復している。左手は、ブラからボロりとこぼれ出た白い乳房を撫で回している。
「無意味なことはやめて下さい」
玲奈が抑えた声で言った。
「何を言っている、こんなになってるくせに」
パンティから引き抜かれた矢島の右手の中指は、少し白濁した粘液にまみれ、薄く湯気を揺らしている。
「それは、助手席シートと音楽のせいです」
「そう、あの日と同じだ。欲情してしまった奥さんは、自分で絶頂した上に俺に抱かれた。なら、今だって……」
江島から体を離し、玲奈は冷たい笑いを唇の端に浮かべた。
「それは幸弘さんに見せるためです。そうでなければ、あなたに抱かれる理由はありません」
玲奈はマジックミラー越しに、スタジオの中に視線を送った。
「このガラス1枚向こうに私の夫がいるのよ?」
「その夫が何をしているのか、よく見てみろ」
幸弘が瞳美のブラウスの前をはだけさせ、ブラを捲り上げて乳首を吸っている。
「まったく。あんたたちはワケが分からん。他の男に抱かれている妻を見て興奮する夫、夫にそれを見られて欲情する妻」
「あなたには分かりませんよ。それが私たちの愛し合い方なんです」
ガラスの向こう側をじっと見つめている玲奈に、江島が問いかけた。
「だったら、逆はどうなんだ?」
「逆?」
「あ、ああ……。凄いわ、乳首を吸われているだけなのに、こんなに感じるなんて。さすがはあの人のお弟子さんね」
「抱かれたことがあるのか、瞳美」
「まあね」
「……弟子はいずれ師匠を超えるさ」
大きな二つの白い肉の山。その頂点に咲く桜色の蕾。瞳美の肉感的なボディにふさわしいその豊満な乳房は、とても柔らかいのに弾力があり、いつまでも顔を埋めていたくなるような甘い芳香を放っている。
「瞳美、全部脱げ」
「はあ? いつ二人が戻ってくるか分からないのに?」
「どうせ見てるさ、マジックミラーの向こう側から」
「それはまあ、そうだけど。ホテルでも誰かの部屋でもないところで脱ぐなんて」
「嫌なのか」
「嫌って言うか……ちょっと刺激的ね」
既にボタンが全て外されているブラウスを脱ぎ、瞳美はブラを外して床に落とした。そしてグレイのスーツのスカートを脱ごうとしたが、何かを思い直したように手を止めた。
「なんだ、恥ずかしいのか」
「恥ずかしいか、と問われれば恥ずかしい、と答えるしかないというのが正直なところだけど。そうじゃなくてね」
「ん?」
瞳美はスカートの中に両手を突っ込み、シルキーな赤いパンティーをつかみ出して脱ぎ捨てた。
「スカートは穿いたままで、とかどう?」
幸弘はにやりと笑い、顎に手を当てた。
「悪くない」
スカート一枚穿いただけの瞳美の体を抱きかかえ、板張りの床に横たえると、幸弘は覆い被さるように彼女にのしかかり、唇を重ねた。そして舌で口をこじ開けると、中を粘っこく舐め回した。瞳美は眉を寄せ、息を荒くし始めている。
「初めて会った時から揉んでみたいと思ってたんだ」
そう言って幸弘は瞳美の乳房を強く鷲づかみした。
「痛、痛いわ」
「嫌か」
「嫌ならさせておかないわよ」
幸弘は更に力を込め、引きちぎらんばかりに白く大きな乳房を揉みくちゃにした」
「痛い、ああ、痛い……」
そう言いながら瞳美は逃げようとしない。それどころか、むしろ自分から背中を持ち上げて胸を突き出している。
「そうか、痛いのが好きか。ならば」
乳房同様に大きめの乳首に歯を当てた幸弘は、瞳美の顔を見つめながら、少しずつ顎の力を込めていった。
「う、うう……」
瞳美の顔が恍惚に歪んでいくのを見ながら、幸弘は片手を伸ばしてスカートをたくし上げ始めた。そしてパンティを穿いていない股間の黒い茂みを露出させると、数本つまんで強く引いた。
「痛いっ……ああ、そんなことされたの、初めてよ」
「感じるのか?」
「ええ、ゾクゾクするわ」
「本当か? 痛いことをされてるんだぞ」
「本当かどうか、確かめてみてよ」
幸弘はスカートを完全に捲り上げ、瞳美の白い太股を担ぎ上げる様に持ち上げて、一気に左右に開いた。
「……なるほど」
よく茂った小高い丘。それは二つに割れていて、中から唇の様な物が少しはみ出している。それは僅かに開いており、中から透明な蜜を溢れさせていた。
「ねえ、味わってみない、私の蜜を」
「そうだな、ごちそうになるとするか」
幸弘は顔を近づけ、舌で花唇を割り開いて谷底から蜜をひとすくいした。
「舌触りはヌルヌルだ。軽い酸味に隠し味の様に僅かに渋味が含まれていて、クセになりそうな珍味だな」
「いやだわ、食レポみたいね」
瞳美は少し笑った。