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相変わらず、綺麗な部屋で
阿部さんが真剣に悩んで選んだピザを食べて
2人でテレビを見てゆっくりする。
「あ〜。帰ったら片付けかぁ」
1回座ってゆっくりしたら、もう働く気がすっかり失せて
1本だけと飲んだビールも、さらに腰を重くした。
「泊ってけよ」
キッチンから何気なさを装って、さらりと言われた言葉に
心の中ではドキドキして
「ん〜・・・」
とあいまいな返事をする。
「このまま泊って、明日の朝から一緒に片付けてやるよ」
そういいながらキッチンから手を拭いてタオルを持ったまま私の横に座る。
「明日本当に手伝ってくれる?」
今日だって散々手伝ってくれて感謝してる。
「もちろん」
そっと近づいてきた顔は、思いっきり整っていて
そのままゆっくりと唇を重ねた。
「抵抗しないんだ?」
スローモーションのように離れたその顔は嬉しそうに笑っていて
「イヤじゃないから」
そう言った途端抱きしめられた。
「あ〜!この部屋に越してくればいいのに!」
そう舌打ちして、再び唇を重ねる。
何度も何度も小さくキスをして
舌先で私の唇に優しく訴える。
物件を探してくれたり、不動産屋さんを一緒に回ってくれたり
ほぼ毎日のように数時間の残業後にエントランスで待ち合わせる私たちは
すでに会社では公認になっていた。