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砂漠の薔薇
【女性向け 官能小説】

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-5


引越しの日はいい天気で。

「サヨナラ」

こーちゃん今までありがとう。
でも、ありがとうなんて言ってあげない。

それが私の最後の強がりで
きっとそんな私を分かってるこーちゃんは、最後に寂しそうに笑った。

お互いにお互いの考えている事が分かる程
私たちは長い時間を恋人として過ごしてきた。

いま、それが終わる―――

「真由花も、元気で」

同級生の私たちはきっと完全に縁が切れる事はなくて
ゼミの同窓会なんかで会うこともあるだろう。
でも次に会う時、私たちはただの同窓生で

帰る家は、別々だ―――

少し後ろで、そんな私たちを見ていた阿部さんは
泣きそうな私が駆け寄るとギュッと抱きしめてくれた。

引越しの荷物は思った以上に多くて
一緒に過ごした4年の生活の蓄積を感じさせた。

阿部さんが手伝ってくれて、割とはかどったけど
それでも夕飯を作るスペースも気力もなくて

「俺んちでデリバリーとろうぜ」
という案に素直に合意する。

歩いて2分の阿部さんの家にサンダルで出かけようとすると
「良いね。サンダルで行かれる距離」
とニヤッと笑った。

何言ってんだか。

いつの間にかつないだ手を、振り払う事もせず
そのまま手をつないで2分の道のりをゆっくり歩く。



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