肛門の絶頂2-4
私はデータを抜き取ると、いてもたってもいられなくなった。こんなに従順になった妻を見たことがない。抱きたい、犯したい。事務所を出て鍵をかけると、目の前をタクシーが徐行していた。私は歩いて10分の距離が途方もなく感じ、タクシーを停めて乗り込んだ。ワンメーターで申し訳ないので5千円札を渡して釣りを受け取らず、自宅の玄関を開けた。
「ただいま、蛍子…あの今日は」
「うるっっせえよてめえこの野郎」
「えっ…うぐっ」
顔を見るなり暴言と同時にボディーブローをお見舞いされた。細身とは言え、私と身長が近いわけだから結構力はある。
「タクシーで帰ってきた理由は」
「あ…」
「理由は?あ、じゃないでしょ答えなさいよ」
「…………え、疲れてて」
「歩いて10分でしょうが」
自然と正座になり、私なりに肉食獣のように猛っていたぺニスは栗鼠のように怯え、股の間に隠れた。
「本当に人が生理でイライラしてるときに本当にあんたは神経を逆撫でするよねぇ」
「すいません…でした」
人間は恐怖に陥ると呼吸する時にすきま風のような、笛のような甲高い音が出るようだ。正座を始めてからずっとヒューヒューという音が聞こえる。
もし生理がもっと早く始まっていたら…ホテルでハジメ君が妻を凌辱している最中に始まったら…。
きっと今ごろハジメ君は息をしていないだろう。私で良かった。犠牲者が私で良かった。土下座する私の頭を踏みつける妻に謝罪を繰り返しながら、ハジメ君の無事を心の中で喜んだ。