恋心 第五章-1
「最近仲いいんじゃん?」
「翔君と付き合ってるの?」
「涼平君に告白したって本当?」
いろんな噂が飛交った。なかには私たちの関係を勘違いし、嫌がらせをしてくる人までいた。
「ほんとに何もないの?」
親友の友里まで疑っている。何もないし、ただの友達だと何回説明したことか…。
「桜ちゃん…なんであいつと付き合ってんの?」
またか…。今度はだれ?
??
???
だれ????
ほんとにだれ?見たことない顔…。
「がっかりだよ…オレ桜ちゃんのことずっとスキだったのに…」
実はこうゆうことは初めてではない。知らない人に声をかけられ、友達ぶって話してくる。同じ学校の人ならまだわかるけど、他の高校や大学生まで話しかけてくることもある。それがまたすっごく馴々しい。だんだん腹が立つ。
「あなた誰?」
「オレ?C組の川上龍太。知らない?」
知らないし!!!
「そう。私急いでるから」
急ぐほどでもなかったけど、実際にこれから部室に顔をだして後輩の多恵に借りていたCDを返しにいくところだった。
「ねぇ!!質問に答えてよ。なんであんなのと付き合ってんの?納得いかないんですケド」
あんなのって…
「翔君とも、涼平君とも付き合っていません!!!」
「マジで?付き合ってないの?なんだ…また騙された」
「そういえば、相川とも付き合ってなかったんだよね?結局さぁ、桜ちゃんって誰とも付き合う気ないの?すっごいナゾなんだけど。クラスのヤツに聞いても何も知らないってゆーし。だからありもしない噂話がたつんだよ。何かツライ過去でもあったりして?」
「別に何もないよ」
そう言い残して私は廊下を走った。あんなこと言ってきたのはあいつが初めてだった。私の過去を見透かされてるような気がして、すごく焦った。もしかして知ってるのかと思ったけど、そんなことありえないと冷静になって考えた。翔君をスキになれて、せっかく普通の恋愛ができそうだと思っていたのに…アイツのせいで嫌な過去を思い出しちゃった。