危険回避のあとは-1
【危険回避のあとは】
少し時間は戻る。春奈の家から帰宅後、大岩老人が叩くドアの音と嗄れた声から逃れるために、寝室のベッドで布団を被っていた。
「夢よね、見られたなんて夢よね、あたち、ちゃんとパンツ穿いてたよね…」
と願い、布団の中で股間に手を伸ばしたが、指先が直接触れた割れ目のヌルミに現実を思い知らさせれた。
「最ッ悪…」
階下では、取っ手をガチャガチャと引く音や、扉をバンバン叩く音が響いていたが、布団の中で耳を塞いで堪えているうちに、いつしか聞こえなくなっていた。
それに気づいた智美は安堵した顔を布団の中から覗かせた。
「ふうっ…。やっと帰ってくれた…」
智美は安堵の息を吐いた。
「パンツ穿かないと…」
そう思った智美は、宅配便の箱に目を移した。すると開いた蓋から覗くピンク色の物体が目に入った。さっきはそれどころではなかったが、妖しげなピンク色が春奈の家で使ったときの快感を甦らせた。智美の指がジンジンとする疼きの元へと無意識に伸びていった。
「はぁん…」
再び火照り始めた女体を鎮めるために、そして大岩老人の悪夢を忘れさせてくれるピンクローターへと智美は手を伸ばした。
しかし、いざそれを持ち、痺れる股間に当てようとしたときに大事なことを思い出した。
「ああん、タオルがない〜」
智美は元来濡れすぎる体質だ。その多すぎる愛液対策のため、オナニーやセックスのときには尻の下にバスタオルを敷いていたのだ。
しかし、今はその準備はしていなかった。かといってバスタオルを取りに行くのももどかしいほど疼いていた。
「あとで洗濯するし、これでいいか」
一刻も早く疼く股間にピンクローターの振動を味わいたくて、智美は身に纏う上着を脱いでベッドの上に敷いた。
「これで足りるかな?」
自分の濡れ具合を自覚する智美は少し心配になった。あと身に付けているのは春奈に借りたミニスカートだけだ。智美はスカートの裾を摘まんでニヤリと笑った。
「これも敷いちゃえ」
智美はスカートを脱ぐと、昨日から振り回された意趣返しに、上着の上にスカートを重ねて全裸の尻を乗せた。
準備の整った智美は、ピンクローターとリモコンを手に取ると、それを疼いた部分に押し付けた。
「いやあああん、キクうううう、あっ、あっ、ああん、ああん」
大岩老人の悪夢を忘れるために、智美はクリトリスを震わす快感に没頭した。
「イクウウ、イクウウ」
絶頂を迎え、すっきりした智美は大岩老人のことは事故と割り切ることにした。
今のオナニーで汚した上着と春奈のスカートを宅配便の箱に押し込み、それを持って全裸のまま階下の脱衣場に移動した。
「あれ?パンツがない…」
汚れた衣類を洗濯機に入れているときに、智美はそのことに気付いた。朝から股間を濡らしたまま庭仕事をし、さらには春奈の家でたっぷりと汁気を吸わせた下着だ。恥ずかしいほど牝の香りを放っていた下着なので、早く洗濯したかったのだがそれが見当たらなかった。
「まさか春ちゃんのとこに忘れた?」
春奈の家を出るときに宅配便の箱の中に入れたつもりだったが、そのときは普通の精神状態ではなかったため、イマイチ確信は持てなかった。
「恥ずかしくて聞けない」
しかし、染みの付いた下着を預かってもらう方がもっと恥ずかしいことに気づいた智美は、スマートフォンを手にして春奈のアドレスにコールした。