好きなだけいいわよ-1
「うーん」
いい夢を見たまどろみの中に僕は居た。目の前に花のような女性器が開いている。上品な形の襞の間に、複雑な凹凸が覗いている。上では小さな肛門が、もう一つの花の蕾のようだった。そこのにおいと、べっとり濡れた割れ目からする強烈な腋臭のにおいが、南国の花そのものを思わせた。
割れ目が僕の顔を挟み込んだ。
「あっ!」
「宣男君、起きたの?」
聞き覚えのない女性の声が下のほうからしてきたが、顔を塞がれた僕には見えない。それから、激しい快感が下半身に走った。射精だった。
いや、何も出ていないようだ。ただ、射精の快感には違いない。
「ごめん。もう出なくなっちゃったね。たくさん貰っちゃった。」
裸の女性の尻が遠ざかり、肩で切り揃えたストレートの髪の美人がこちらを向いた。外国人だった。でも、日本語だ。
「さくらよ。」
「えっ?」
女性は、僕と同じくらいの年齢だろう。言われてみれば、さくらちゃんに似ている。
そうか。これが本物のさくらちゃんなのだ。
「嬉しいな。ずっと会いたかったの。」
さくらちゃんは、言いながら僕の腹に跨がって乗った。大きくて張りのある乳房と、割れた腹筋が僕の目を引いた。
「ここ、どこ? いま何時?」
「チェコのあたしのうち。あたしのマンションの部屋よ。何時かな。夜中よ。」
さくらちゃんは、漫画や映画の女性が話す古風な女言葉を今でも使っていた。
「あたしもこれでやっと友達並みになれた。それも、好きな男の子とできたなんて、嬉しいな。この歳まで処女だったんだもん。」
「僕もしたこと無かったけど。もう終わってる?」
「我慢できなかったの。ごめんね。宣男君、ずっと寝てるんだもん。寝てるのに、硬くなってたのよ。二人とも初めてだなんて、最高。」
「自分から入れてみたかったな。」
「あたしのあそこに体ごと入った癖に。すけべ。」
「そうだ! あの巨人は何?」
「あ、小さくなった。そうよね。七回も出したんだもんね。スペルマって、日本語で何だっけ。おいしかった。」
「精子。それより、あの巨人もさくらちゃんなの?」
「そうと言えばそうだし、違うと言えば違うかな。」
「全然わからない。」
「今日はもう寝ない? 疲れたでしょ?」
さくらちゃんはそう言うと、僕の隣に横たわった。腋毛を剃っておらず、そこからまた濃いにおいが漂ってきた。張りのある乳房に僕は吸い付いた。
「あん、まだするの?」
「ここ、触るの初めてだもん。」
「宣男君にあげるわ。あたしたち、付き合えるでしょ?」
「もう一回、あそこ見せて。」
「好きなだけ、いいわよ。思い切り犯されたい。男らしいとこ、見せて。」
今の僕には、さくらちゃんの体とそのにおいしか、確かなものが無かった。