キス…された側なのになんで!?-1
「は、はじめてのキスなのに……ディープよディープ!!」
まりあは羞恥に顔を真っ赤にさせながらも怒りのまま怒鳴り上げた。
「……冗談はよせ。煉がお前なんかに手を出しただと?」
「はぁっ!? なんでキスされた私が蔑まれてんのよ!!」
求められたからこそキスをされたのだと普通は思う。しかし焔の言葉は明らかにまりあを見下しての発言で、強引に奪われたなどとは微塵も思っていないのは明らかだった。
「蔑まれて当然ですわ。だって煉さんは……誰よりも高潔なお方ですもの」
一連のやりとりを見ていたらしい巻き毛の彼女が麗の肩にもたれながら流し目でまりあに毒づく。
「……慶」
そう呼ばれた美少女は大きな瞳を鋭く尖らせ、肌蹴けて露わになった鎖骨にブロンドの髪をサラリと流す。
人前だというのに、男女の仲を匂わせるような彼女の仕草にもやはり麗は咎めることなくそのまま身を任せている。
(……まただ……)
「……っ」
目を反らしたくなる二人の絡みにまりあの胸は力強く握りしめられたように息苦しくなる。
「……まりあさん。
麗さんや焔さんの優しさだけじゃ物足りなくてそんな嘘を言っているのなら……」
「な、なによ……っ!」
「浅ましいその考えと共に……神の業火に焼かれてその身を浄化しておしまいなさい」