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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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支配者から逃れた先に待っていたのは、支配者でした-6


 部活の帰り道、あたしと栞理と今日子先輩とバスの中、疲れのせいかうたた寝して、気が付いたら先輩は先に下車して、栞理に起されてバスを降りたの。
「順ちゃん、部活楽しい?」
「えー、うん」
 何の気なしに歩いて二条家まで歩いて彼女と話して、
「今日子先輩と稽古するの楽しい?」
「あ、楽しかったかも」
 今日の試合稽古を思い出し、ちょっと微笑しちゃうわー、
「……ああいう娘が、好きなんだー」
「うん、先輩って凄い身体してるよね、筋トレであそこまでなれるんだよね、顔立ちも美形だしさあ」
 多分こんな会話とかじゃなくって、もっと前からの行動とかもあったんだろうけど、その時は凄かったの。
 後頭部をごつんと、一発。
 急に世界がくるくる回り出して、地面も建物もグニャグニャに歪んで溶け出して、ドロドロになる、どこに立っているのかがわからなくなるの、
「順ちゃんが悪いんだよ」
 そんな声をどこかで聞きながら、
 ゴツッ、ガッ、めきぃ、って。
 ああそうか、栞理に薙刀の柄で滅茶苦茶に殴られているんだなって、どこかひとごとみたいに思ってた、別に抵抗とかする気がないわけじゃなくって、ママからは殴られるみたいな肉体的暴力だけは無かったから、ただ同じように心を閉ざせばいいんだって学んでいたしね、つまり抵抗するよりそっちの方が楽だしさ。
「順ちゃんが悪いんだよ、はぁ、はぁ」
「はぁ、順ちゃんが悪いんだからね、はぁ」
「順ちゃんが悪いせいだよ、はぁ、はぁ」
 ああやっぱねー、って感じ、あたしがダメだから悪いんだよ、そうよね、もう生きてるのつらいよ、死んじゃいたいよ、だけどひとり死んでいくのは寂しいしな……
 頭からも血が垂れて口に入る、栞理に道端で馬乗りにされながら首を絞められ、「鉄臭いな、血って」とか思ってる、意識が朦朧としてきて、あ死ぬんだみたいに思った時、
 ぱっと手を離され、反射的に息を吸い込み猛烈にむせ返る、
「ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ、う〜〜〜〜〜っゴホッゴホッ!」
 栞理の事とか何も考えられないまま、ひたすらに肺に酸素を通そうとする、いくら吸っても足りないくらい、吐くことよりも、とにかく吸いまくりたいと気が狂う程に、吸い込みたいって、と同時に涙が溢れてつんと鼻が痛くなる、ホントは何が悪いのか分からないまま、
「ごめんね、ごめんね」
 謝りまくりました、あたしが悪いからでしょう、悪いということにし、心を閉ざせばそれでいいのですから、そうしてきたのですから、そうやって生き延びてきたのですから。
「はぁ、はぁ、順ちゃんはお兄様と、はぁはぁ、もう関係しているんでしょ?」
 いくら心に押し込めようとしても、栞理は許してくれません、ばれたのかと、感情が揺れ動きます、いえそうしたのも元はといえばあたしのせいなのですから、
「だって、、だってさ」
 だってさの続きを言葉にしたくありません、本心をどこにあるのかを表すことが怖いからです、ママに、パパに、そんなことをすればあっという間に食べられ利用されてきたあたしには怖くて、唯一信じてもいいと思った栞理に裏切られたらどうしようと怯えてきたから、怖くて怖くて仕方が無いのです。
「だったら? だったらどうだというのですか」
 答えたくない、黙していたい、秘しておきたい、このまま許しておいてほしい、そしてそんな甘えたあたしはいい加減自分にうんざりするのです。
「許せない、付いてきて下さい」


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