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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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支配者から逃れた先に待っていたのは、支配者でした-4

 稽古場というか、体育館の一箇所を使っての柔軟から身体をほぐし、軽いランニングの後、
「今日は少し特別に試合形式で上級生と下級生での立場カンケー無い稽古をやってることにする、負けた奴、後で罰ゲーな」
 ざわざわ周りが騒がしくなるの、
「な、なによー罰ゲームって」
「またろくでもないこと考えてるんでしょ」
「いやいや、けっこー今回はいい考えがあるんだぜ」
 やけに自信満々な今日子先輩だ、
「へー今日子がいういい考えっての、聞かせてよ」
「フフフ、いいだろう、籠手と面を洗うっていう、誰もがお得な罰ゲームだ、例えば心愛とか栞理のロリメイクの化粧染みなんかも良く落ちる、部室の汗臭いにおいと化粧くせえにおいがすっきりするっていう、どうだ? 素晴らしいアイディアだろう!」
「な、私はそんなメイクは……」
「「………………」」
 確かに防具は臭くなる、特に面と籠手がひどいもの、うーんそれにしても、今日子先輩に勝てるんだろうか? ……はっいけないいけない、勝負の前からこんなこと考えているようでは、
「ぼ、防具が綺麗になるのはいいことね……」
 誰かがぼそりと他人事のようにつぶやくわ、ただし洗うのは厭だけどと、みんな心の中では思っている、それを口に出さないだけで、洗うのは自分でなければいいと、思っている。

 栞理ちゃんと今日子先輩は同門で稽古してきた仲だけど、決定的に違いがあるの、栞理ちゃんは教えるのは上手だ、うまいと思うし先生として立派だとも、でも今日子先輩はどうだろうか、彼女は強い、警視流の日本一の剣道家を叩き潰すほどの腕前をもった女子高生、きっと彼女の薙刀は戦場の剣、殺人剣、栞理の剣は道場剣法、人をあやめるためのものではない。
 その血なまぐさい剣にあたしは憧れているのかもしれない、たとえ征服されても必ず立ち上がるセルビアの血に、幼いころ同盟を結んだボスニアハーフの智燈君との約束を思い出させるからなのか、隣人同士いがみ合うなって言われたこととこの今日子の生き方みたいなの両立できるのかとが気になるからなのか、おぼろげながらも外交官を目指してみたくなったのかな、でもそうでない気もする。
 たぶん順子はあの今日子の身体に抱かれたがっているんだ、日本人離れした甘いマスクのカワイイ顔、それとは全く正反対の広い背中がまるで背筋が隆起しているようだし、腹筋は6つに割れたシックスパック!上腕二頭筋はバキバキに血管が浮き出た山のよう、上腕三頭筋もキレている、オッパイというより大胸筋がプルンぷるん躍動する様は気持ちが昂る、大腿四頭筋とハムストリングスの太さときたら順子の胴回りより太いくらい、完成されたスタイル抜群の筋肉少女、身長は180センチに届こうというのに顔は小さくバランスが良すぎて……もしかしたらその今日子の肉体にありもしない父親の姿を夢見ているのかも知れない、あたしはそう思う。
 だからといって、負けるつもりは微塵もない、拙いながらも細い活路を見出すの。
「んぢゃ始めるぜ順子」
 対決というより、稽古でもするかみたいに、軽く佇立する先輩だった、そりゃそうか、そだねー、でもあたし負けませんから。
「お、なんだ? オレのパクリか?」
 蜻蛉の構えと先輩が呼ぶ、八相を少し上段の構えに直した、ややなぎなたという武器を長く構える独特の構えよ。
「どうですかね〜?」
 付け焼刃の剣法で先輩に勝てるわけないじゃん、でも小さな策がある、毒があるわ、小細工が通じるかわかんないけど、小技は勝負にとって重要な位置を占めることがあるはずだから、ハマればそこに勝ちを見出すことが出来るかもしれないもの、
「何か隠してんな? お前のそういう所が見たかったんだ」
 そうお安くないわ、バレたら勝ち目はない、勝負なんて閃光の様に一瞬で決まるもの、仕掛けたら最後、どちらかかが勝ち、勝ったことにすら気が付かないかもしれない位刹那、そーいうもんでしょ?
 今日子先輩は、先を仕掛けてくるのか、
 蜻蛉を崩さず、少し送り足で左に移動する、
 遅れて今日子も左に移動する、
 わずかの遅れの意味する所、今日子は私の動きを見て、そして反応しているという事、
 後の先を取らせる!
 身体は自然と動いた、
 左肱を閉めた状態から頭部という人体最大の重さを生かした、重力を最大利用する抜重と彼女が説明する技を使い、彼女の面へ向かい物打ちと呼ばれる刃の慣性質量を叩き込む! 鳥羽戦争のとき、幕府の侍を殺したのはこの技のなすことの多かった、今日子流薙刀術を、
 彼女はなんということか、右手前右足前の蜻蛉から左手前の手の内にそれは自然に柔らかく霞の構えに、
 なぎなたとなぎなたが火花を散らす如く当たり、
 電光石火、彼女のなぎなたはあたしのなぎなたを打ち落としにかかっていた、
 ハマったな、今日子!
 あたしみたいに体力的に劣るものが使うのは彼女の膂力しかない、
「お、おお?」
 踏み込みの右脚で思いっきり大地を蹴り、更に一歩左脚で踏み込み、落とされそうになるなぎなたをそのエネルギーを利用して頭上から一回転、もっともなぎなたらしい技、それをみずぐるまと呼ぶ、
『殺れる』そう確信した瞬間だ、スムーズに身体が動いた会心の一閃だったから、
 彼女の脳天をばっさり頭蓋骨の脳漿の飛び散るイメージまで見え、そうなるはずだったのに、
 そこに彼女の、今日子の面は消えていた、
地面スレスレまで頭を落し、なぎなたの柄を両かいなを打ち上げるように背中側まで回しあたしの攻撃をがっしり受け止めていた。
「抜重?! まさか、そんな!」
 それしかなかった、まさかみずぐるまの受けに、抜重を? 有り得ない!
 混乱する状況から逃れようとバックステップで下がろうとしたとき、
「脛っ」
 地面スレスレの這うような動きで、右脛を打たれたの、わかった、脚が體から離れたような錯覚すら覚える程に切なく、と、殺られた、感じた瞬間だったわ……


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