恩知らずなボク-1
ボクの秘密を打ち明けたら
アナタはボクを嫌いになりますか?
それとも……
麻霧三咲と付き合い初めて三ヶ月
ボクは、少しずつ
でも確かに彼女に惹かれていた
偽りのない笑顔と言葉
ボクとは違う
でも
彼女が時折見せる哀しい表情が
そのいつもと違う表情が
ボクの心を狂わせる
三ヶ月前に始まった、偽りの恋が真実の愛に染まる
神様
詐欺師が本当の気持ちを伝える事は許されるのでしょうか?
もしもそれが罪な事なら
ボクは罪に墜ちたい
嗚呼
麻霧三咲
アナタがボクを狂わせる
アナタのためならば、青臭い台詞もためらわずに言える――
「優、報告を」
低い男の声で、醒める
この男がボクの親父
そして、上司
姫咲 勝[ヒメサキ カツ]
名の知れた政治家であり、詐欺師である
彼のせいで死に至った人間は、恐らく一万は超えるだろう
昔のボクが最も尊敬していた人間であり、今のボクが最も軽蔑している人間
「麻霧三咲は、クラスの中でも人気者であり成績も一位から落ちた事がない
しかも去年は陸上の短距離でインターハイに出場
天然な性格に難はあるものの、逆にそれが良いという声もあります
以上」
事務的な言葉の羅列
親子の会話とは思えない