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嘘吐きなボク
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嘘吐きなボク-1

「ずっと好きでした」
ボクは嘘吐きだ
「僕と付き合って下さい」
ホラまた嘘を吐いた

嘘を吐かれた相手は、驚きながらの笑顔で
「良いよ」
と言った

好きでもないのに
利用するだけなのに
ボクは嬉しそうな顔をした


ボクの名前は姫咲 優[ヒメサキ ユウ]
高校三年生
成績優秀
容姿端麗
運動神経抜群

女性にモテる要素を全部持つ、完璧人間


でもそれは表のカオ
本当のボクはこんなに薄っぺらじゃない
本当のボクはこんなに綺麗じゃない

本当のボクは、汚くて罪深くて臆病


ボクは詐欺師
生まれながらの詐欺師
ボクの人生は嘘で塗り固められてた

ボクという存在が嘘だった


ボクの仕事は騙す事
依頼人の邪魔になる人を陥れる

それだけで良い
嘘を吐いて近付いて、利用して捨てる
簡単な事

誰でも騙せると思ってた
心なんて痛まないと思ってた

昨日までは



昨日、ボクはいつもどおりに仕事をする筈だった
騙して利用して捨てる
そのはずだった

「ずっと好きでした
僕と付き合って下さい」
この言葉で相手にカマをかけ

「良いよ」
その言葉で相手が罠にかかった事を確信する

いつもどおり
比較的簡単な仕事だった

そこまでは


あの告白の後ボクは彼女に連れ回された
アッチにコッチに連れ回された

何が目的なのか分からずに手をひかれているボクは、いつもと少し違う事に気付いた


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