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嘘吐きなボク
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嘘吐きなボク-2

「リードされてるなぁ」
思わず考えが口に出る

「なんか言った?」
彼女にも聞こえたみたいだった

「いえ、別に」
焦らず恐れず何事もなかったように答える
嘘を吐く基本だ

「なら良いや」
彼女は――麻霧三咲はそう言うとまた前を向き歩き始めた

麻霧 三咲[アサギリ ミサキ]
彼女は有名な弁護士である麻霧 唐磨[アサギリ トウマ]の一人娘
今回ボクが騙す相手
理由はよく知らないけど仕事は仕事
お金は振り込まれたし、簡単だと思ったから二つ返事で請けてしまった

でも間違い
全然簡単じゃない
この娘なんていうか

「すごーい!あのゾンビの人形かわいい!」

パワフルだ
ちなみに彼女がかわいいと言ったゾンビの人形
全然かわいくない
どこからどう見てもゾンビだ

彼女はズレてる
厳しい言い方で言うと脳足りん

唯一の取り柄は

「ゾンビかわいいねー」

明るさだけ


一時間
一時間もの間同じ店でウロウロしている

周りから見れば変なカップルだろう

彼女はゾンビがかわいいとか叫んでるし、彼氏は引っ張られてるだけ
本当にカップルかも怪しい

「帰りたい」
優はまたしても自分の正直な考えを口にしてしまう

何故か今度は聞こえなかったらしい

良かったのやら悪かったのやら


結局帰ることになったのは二時間後だった



「今日はとっても楽しかったです!
ありがとうございました!」
三咲が嬉しそうに言う

一応カップルなんだからお礼言われてもなぁ
そんな醒めた考えが頭を過ぎったが

「僕も楽しかったです」
恋人を演じる事に徹底する
それに、楽しかったのは嘘ではなかった
確かにゾンビのくだりは帰りたい気持ちになったが、基本的には楽しめた

「じゃあ優クン、また明日ねー
歯ぁ磨けよー」
三咲は気になる言葉を残して帰っていった

「疲れたなぁ本当……」
優は溜め息をつく

でも
なんとなく、また会うのが楽しみ
そんな気持ちになった

「ボクもヤキが回ったかなぁ」
また溜め息をついた


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