優しさと情けなさと-3
バイトの後は「鳥那須」へ直行した。雨だった。俺は岡田の言葉を引きずって、ポリアンナに泣きつきたい気分だった。ポリアンナは何でも許して認めてくれる。甘えたかった。中学生でも小学生でも、女の子なら構わない。おばさんはダメだ。情けなさではヒモを超えたかも知れない。
「今忙しいからだめ!」
「おっばい、片方だけ見せて!」
「いけません! 勝手に覗いたらいいでしょ。」
「見せてもらいたいんだよ。できれば下も。」
「時間ないの!」
「泣くぞ!」
「もう!」
ポリアンナは、撮影の人に断り、トイレへ直行した。
「今おしっこ、出ないからね! どうぞ!」
便座に腰掛けて両脚を上げたポリアンナは、白い肌に紅く割れた溝を指で広げ、また、残りの指で、薄紫の肛門も開いてくれた。撮影用に着飾ってもいる美少女が、こんな格好をしてくれる。
新約聖書のヨハネ福音書には、聖母マリアがイエスにものを頼んで断られる場面がある。しかし、まだ自分の時ではないと断りつつ、イエスは聖母の頼みを無言でさり気なく叶え、他人の結婚式用のワインを、水から六百リットルも作ってやるのだ。
自分のこんなザマに比較するのは余りにもおこがましいのだが、それを思い出した。
「ありがとう! ポリアンナ様!」
俺は泣き出した。
「オナニーしていいか。」
「おあずけ!」
通信は切断された。
ポリアンナに甘えてさえいれば、何もしないでも俺は生きていけるのではないか。
ともかく元気を回復した俺は、鳥那須へ到着した。