投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

〜吟遊詩〜
【ファンタジー その他小説】

〜吟遊詩〜の最初へ 〜吟遊詩〜 37 〜吟遊詩〜 39 〜吟遊詩〜の最後へ

〜吟遊詩(第四部†砂漠の国ディザルト†)〜-4

【メインブロック=国の大事なもの】

ユノだってクロック・カットに行ったとき、そうしてメインブロックを見つけたはずである。
エアルは更に小さく続けた。
「戦争するにしろ、しないにしろ、メインブロックには少なからず影響が出るかもしれない…早く真相を確かめよう」
「うん。どうにか頑張って都市部まで行こう!リンさんっ!私達行けるところまで行ってみます。ミルクありがとうございました」

ユノは軽くお辞儀をし、立ち上がった。あとからエアルも続く。
「アンタたち、本気かい?まぁそう言うなら止めはしないさ……。でも出るなら急いだ方がいい。あと少ししたら雨が降る時間さ」
リンの言葉にユノはニコっと笑顔だけで答え、テントから出た。
 『急ごう!』と言うように、二人は始めに下ろした荷物を手早くラクダに乗せる。

エアルが次の荷物を手に取ろうと目線を移したとき、少し先の瓦礫に小さな人間が座っているのが見えた。
「小さな人間」という表現は抽象すぎるかもしれない。
いわゆる「子供」であるのだが、スッポリとフードを深く被っているため性別が判断しづらいのだ。
「なんだぁ、あれ……ガキか?」
エアルは吹き出す汗を拭いながら呟いた。小さな人間は、砂で汚れた麻質の服を纏いユノとエアルを見つめている。
フードのせいで口元しか見えていないはずなのにエアルはなぜか小さな人間の視線を感じた。
ユノに目をやったが、平然と荷物を積み続けている以上、ユノはその存在に気付いていないようだ。
小さな人間はエアルに向かって不気味に笑いかけた。
(……。くそっ!先を急いでるっていうのに!!)
エアルの口からため息が洩れる。
「…ちっ。ユノ、先に行ってて」
「えっ!?どうしたの??」
荷物を積む手を休め、ユノはエアルを見上げた。
「うん……あっ!トイレ!」
当然のユノの質問にエアルは戸惑いながらもそう答えた。
「ふ〜ん…」
ユノはその答えに納得していないようで訝しげにエアルを見つめた。
ユノの赤い視線が真意を見極めようとエアルに絡み付いていく。
「……待ってようか?」
疑い顔でユノはそう言った。
「いいよ、いいよ!今は急いだ方がいいからさ。すぐ追い付くし、危険そうなら無理すんなよ!」

エアルはそう叫び、ユノの視線から逃れるため細い路地を曲がっていった。

 ユノは人を見つめる癖があった。初対面の時からそうだったが、物事を見透かそうと相手の目を捉えて逃がさない。
「先に行ってろ、危険そうなら無理すんな、って矛盾してない?」
見えなくなったエアルの背中にユノは文句を吐いた。
「つーかどんだけ長い時間 用足すんだよ!?」
ため息を一つ洩らすと、ユノはエアル用のラクダを一匹残し、リンのテントを後にした。
目指すは東に2日歩いた所にある、ディザルトの宮殿。


〜吟遊詩〜の最初へ 〜吟遊詩〜 37 〜吟遊詩〜 39 〜吟遊詩〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前