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よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

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ひいなさん-2

十六、 大学の秋はのんびりしたものである。体育祭がある訳でもなく、学祭も、全体が関わる訳ではない。俺みたいに、マイペースで学問するにはもってこいの季節である。
俺は自分で何をする事もなく、ただ他人の仕事の世話になって、勝手気儘に生きている。社会に貢献したい意欲はあるが、就職をして縛られる生活はしたくない。人生のレール、社会人としての義務、生活のためにやる仕事。未来は気が重くなる話ばかりだ。

「マリエって聞いたことある?」
俺はひいなさんに尋ねてみた。
「誰それ? 役者?」
聞いたひいなさんに俺は
「妹さんが通っている中学校の生徒。」
「こいつ、中学生と付き合っとんねん。ロリコンなんや。」
「また違う中学生に手出すのかよ。」
伊月も話に入ってきた。
「聞いたことある。二年生なのに妹が使われてるらしいよ。で、妹は仲間の暴走族みたいのを呼び出すんだって。その子がどうかした?」
「いや、彼女がいじめられてたから。」
「外国人の中学生なんて、会ってみたいよな。でもこいつ、会わせてくれへんのや。」
「そういう奴らって若い時からヤリマンなんだろうな。」
「妹はそうだよ。」
ひいなさんがさらりと言ったので伊月は慌てて
「いや、そのもう一人の事。でも、ひいなさんの妹の相手は羨ましいぜ。」
「童貞やからな、伊月は。」
「うるせえ! 弘前もそうだ。」
「妹に頼んでみる?」
酒に強そうなひいなさんは、酔っているのかいないのか分からない。一人、日本酒のコップを次々と空にしながら、平気で普通にそう言った。
「中学生なんかに頼まんと、風俗で鍛えてこんかい。だいたい、お前、外人がいいんやろ。弘前なんかな、外人の中学生にパンツ貰っとるで。お前をとうに超えたわ。」
「外人外人言うな。あと、ひいなさんに失礼だろ、下品な話、しやがって。」
とうに伊月を超えているのは事実だ。
「あたし、下ネタ大丈夫だよ。部活でみんな凄いから。」
「言っとくけどな、伊月、彼女は美人だぞ。スタイルだってモデルみたいだぞ。これだけは自慢してやる。」
「俺はひいなさんがいいんだよ!」
絶叫するような、酔いに任せた告白だった。
座が一瞬静まった。渡部はしかし、にやにやして
「お前、今の話の流れからするとな、ひいなさんとセックスしたいとしか聞こえんぞ。」
「そうだよ! してえんだよ! 好きなんだよ、俺はひいなさんが!」
伊月は泣き出した。どうにも滅茶苦茶なことになってきた。
「そういうの、後で話さない? あたし、飲みが全然足りないんだけど。おごるからもっと行こうよ。」


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