覚醒-1
「こんにちは〜」「待ってたよ」
室内に入ると6人の男がいて、私たちにめいめい声をかけてきた
何かおかしいと思い、逃げることもできたけど私は何故か惹かれ…
そのまま入ってしまった…。
「じゃ、今年もお疲れ様〜、来年もよろしくお願いします。」
年末に差し迫った平日のお昼前、いつものようにサークルに参加し、
メンバー内で挨拶をして、年内最終の練習を終えた。
今日の練習は7人。年末なので平日とは言え、集まりは悪く、
いつも話し相手になって貰ってる亜沙美も今日は欠席だった。
そんな中、「高木さん、ちょっとこの後時間ない?」
年嵩メンバーの岡本と佐藤が声をかけてきた。
岡本は48歳、背は私と同じで160cmそこそこだけど横幅に貫禄があり、
佐藤は47歳、小柄で細身…
二人とはほとんど交流がなく、挨拶程度しか言葉を交わしたことがなかった。
「これからスポンサーさんたちに年末の挨拶に行くんだけど一緒に来てくれない?」
いつも親分肌の岡本が言い、腰ぎんちゃくのような佐藤が続けた
「ほら、一応二人で行っても寂しいじゃない?
でも若い子連れて行ってワチャワチャしてもいけないから」
「はぁ…?」
状況がよく呑み込めない私に岡本と佐藤がが
「今日のメンバーで私たちの次って高木さんだから、ちょっと付き合ってよ」
「そうそう、これも年長者の役目よ、それにお食事をご馳走してくれるから」
サークルには地元のスポーツ品店や薬局、スーパー、クリーニング店、等
いくつかスポンサーが少額ながら寄付してくれ、更にお買い物もサービスしてくれている。
サークルに参加して1年、後から入ったメンバーも増え、年長部類にも入っている。
「そうですね、では普段のお礼がてら年末のご挨拶に私も行きます。」
私の返事を聞いた二人が妖しく笑ったことに私は気付かなかった。
「あ。岡本です、お疲れ様です。今から向かうので20分くらいで着きそうです
…
そうですね、12時にはつけると思います
…
ええ、一緒です」
佐藤の車に乗ると助手席の岡本が電話で話はじめ、後部座席の私をちらっと見た後、更に続けた。
「大丈夫だと思います
…
はい
…
いえ、言ってないけど大丈夫ですよ
…
はい
…
はいはい
…
では、またあとで。」
「待ち遠しいって。フフフ。や〜ね〜」
岡本が運転する佐藤に笑いながら言い、佐藤は
「ホントどうしようもないですね」
「高木さんも楽しみましょうね」
岡本が私に話をふり、訳がわからず、私は
「…はぁ…そうですね…」
車が商店街とは逆の郊外に向かい
「どこに行くんですか?」
私が二人に聞くと、佐藤が
「一応予約してくれてるみたいだからそこに行くのよ。
納会みたいなものだから、お部屋を借りてくれてるの。」
「そうなんですね、結構大掛かりなんですね」
当たり障りがないように私が言うと、助手席で化粧に余念がない岡本が
「そうよ、高木さんも今のうちにお化粧しておきなさいよ」
岡本に言われ、急かされながらお化粧を整え、岡本に借りた濃いめのシャドウとグロスを塗った。
12時前に車は郊外のリゾートホテルについた。
「ここよ、さぁ、行きましょう」
岡本が佐藤と私を先導するように進み、佐藤が私の後に続く。
岡本の足が止まり、部屋の番号を確認した後、ノックした。
しばらくするとドアが開き、私たちは室内に入った。