投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

よだかの星に微笑みを(第一部)の最初へ よだかの星に微笑みを(第一部) 0 よだかの星に微笑みを(第一部) 2 よだかの星に微笑みを(第一部)の最後へ

祝童貞喪失に伴った事-1

「弘前、聞こえるか。」
声のした方を見ると、巨大な昆虫である。見た目から、コスプレでないことがはっきりしていた。顔はオケラか、バッタか、ゴキブリか、よく分からないが、そんな生き物だ。でも声はバイトの高橋先輩の声だった。
「うわあ、男って、ほんとに起きたとき勃つんだあ。」
声のした反対側に目をやれば、そこにも虫がいた。女の声だ。これは何の虫だろう。
俺は全裸だった。動けない。台に寝かされたまま、縛られているらしい。
「お前、改造されたんだよ。新型の実験。成功した。でもな、お前は組織の役に立たないから、これで帰す。取り敢えず全部忘れろ。」
「先輩ですか。」
「そうだよ。何にも説明しないから、何にも聞くな。お前の家族のためだぞ。」
「あたし、何か言いたい。」
その途端、右側にいた虫が変形して、人間になった。素っ裸の、中学生くらいの女の子だ。美人だけれど顔付きが悪いなと俺は咄嗟に思った。間違いなく不良である。ヤンキーである。
「あんた、金かかってるの。でも、へなちょこは体が新型でも使えない。完成しちゃったら殺すのにまたお金と手間かかるから、そのまま帰す。あたしたちは世界に革命を起こす組織の」
「おい、言う必要ないだろう。」
「言っとかないと馬鹿なことするかもと思って。でも、いいや。お支払いはおちんちんでいただきます。彼女もいなくて童貞なんだろ。その割によく剥けてるじゃん。ほら、女。」
中学生はひらりと俺の顔を跨ぎ、薄毛の股を広げてみせた。
「よく見えない。も、もっと上に寄せて」
生まれて初めて見る女性器とそのにおいに、俺が訳も分からず興奮したら
「弘前、お前は度胸があるのかないのか分からん奴だな。」
「じゃ、童貞いただきっ! あ、硬ったい!」
「痛い! あっ! うっ!」
俺の上で肌を密着させた中学生が、挿入させたらしい。きつい入口の後は柔らかな温かさだった。
俺は我慢もせず射精してしまった。初体験とはこんなに呆気ないものなのか。中学生は、男が腰を振るうようにしきりに前後させつつ
「この子、もう出ちゃったんだ。ははは。中出しサービスだよ。でもまだ硬い。女、満足させなきゃ男は駄目だよ。」
中学生が言って仰け反った瞬間、その全身が虫に変化した。
「ああ、子宮にびんびん来る。この子の硬くていい!」
高橋先輩が
「おい、機能は使うなよ。」
俺は驚きながらも、あまりの気持ち良さに二度目の射精をした。その時、体中が熱くなるのを感じた。
中学生の虫が飛び退いた。
「もう! まだできたのに。」
「お前が無駄な変身をした防御反応だ。あーあ、変身したか。」
俺は起き上がった。手枷も足枷も簡単に外れた。両手を見ても、腹を見ても、虫に似ている。いや、確かに虫だ。外骨格。理科で習った言葉を思い出した。顔はどんなだか分からない。
「新型、すごいね、迫力が。」
「変な気を起こすなよ、弘前。言っとくけどな、お前、機能上は最強なんだよ。ただメンタルがお前はなってない。興奮すると変身するから気をつけるんだな。因みに、説明書なんかもないから、後は適当に生きていけ。」
「顔、見る?」
中学生の虫が出してみせた鏡には、図鑑にあるような、アップの蜂が映っていた。
「あたし、あんたのこと覚えとく。カタギの男の子としたの初めてだもん。服、ここに置いとくから。じゃあ。」
そう言って二人、もしくは二匹は部屋から居なくなった。
気分が高揚して、異様な状況なのにわくわくしている。出口がどこなのかも、先輩たちが今どこにいるのかも、分かる気がした。眉間のあたりにそんな感覚が来るので、頭に触れたら、触角だった。ついでに、今日の日付まで思い浮かんだ俺は、たちまち冷や汗をかいた。
「講義、四日も休んでる! バイトもやばい!」
俺の姿は元に戻っていた。


よだかの星に微笑みを(第一部)の最初へ よだかの星に微笑みを(第一部) 0 よだかの星に微笑みを(第一部) 2 よだかの星に微笑みを(第一部)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前