グ-2
「このピンキーリングは、プロジェクトが終わって、仕事上で関係なくなったら
きちんとプロポーズするための約束のつもりだったんだ」
そう言って2人の小指をからめた。
ゆびきりげんまん―――
岡本くんの小指が、私の小指にはまっているピンキーリングをいじる。
「え・・・」
「薬指の隣の・・・この小指に指輪をはめて、いつかエンゲージリングをはめるための薬指を
見張っているつもりだったんだ」
「そんなの」
「ん?」
「そんなの言ってくれなきゃ分からないじゃない!」
「うん。俺が勝手に思ってただけ。ごめん」
謝っているのに、その顔は嬉しそうで。
「本当はきちんとプロジェクトが終わってからプロポーズして。
そして渡そうと思ったんだけど」
そう言ってカバンから取り出したのは、綺麗な立方体の箱だった。
美しい程に綺麗に結ばれているリボンをほどいて
箱の中から同じく立方体のベルベットの小箱で。
ゆっくりとその小箱の蓋をあけ
じっと見つめた後に中身を私に見せるように向けた。
「結婚してほしい」
たった一言そう言って、そのまま私の返事を息を止めて待っていた。