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偽占い師に御用心
【鬼畜 官能小説】

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二良山盛恵の悩み-1

俺がフリーターの叔父から呼び出しの電話を受けたのは、金曜日の仕事を終えて会社を出た直後だった。
1年前に大学を卒業して今の会社に就職してから、叔父とはあまり連絡を取っていなかった。それが急に電話をかけてきて呼び出され、しかもどんな用事なのかはっきり言わずに切られたものだから、不審の念を抱くのも致し方ないと言えよう。

とは言え、小さい頃には可愛がってもらった叔父の頼みを無視するわけにも行かず、俺はいつもの家路につく路線ではなく、叔父が待つ場所へ向かう電車に乗った。
着いたのは、見るからに怪しげな雑居ビルだった。そして、指定された部屋に行くと“占い館”という看板がかかっている。いよいよ怪しい。

呼び鈴はなかった。ドアをノックすると、「は〜い」という気の抜けた声が返ってくる。俺はドアを開け、中に足を踏み入れた。

「叔父さん、いるか?」
「おお、よく来たな」

叔父はいた。だが、何故かフード付きの黒いガウンという服装だ。ついに怪しさここに極まる。

「何だよ、その恰好は?」
「おう、叔父さんな、今ここで占い師やってるんだ」
「はあ? 占い師?」

部屋を見渡す。薄暗い照明は、わざと明るさを押さえているのだろう。あまり広くない部屋の中央付近に置かれたテーブルには黒い布がかけられていて、一応それっぽい雰囲気は醸し出している。

「……叔父さん、占いなんてできたっけ?」
「ガハハ。こんなもんはちょっと勉強すればなんとかなるさ」

叔父は、相変わらず人生をナメていた。少し苛立った気分になり、俺は尋ねる。

「それで、俺に何の用だよ?」
「うん。実はな、この後予約のお客さんが1人いるんだ」
「それで?」
「ところが何と、ついさっき、ミユちゃんから早く会いたいってメールが来たんだよ!」
「ほー」

俺は頷いた。もちろん俺はミユちゃんなる女性が何者なのか全く知らないが、大方キャバクラか風俗関係あたりだろう。

「……で、俺がそれと何の関係があるんだ?」
「察しが悪いな。俺は今すぐ出かけなきゃならんから、お前が店番やってくれ」
「はあ!?」

思わず俺は、大声を上げていた。

「店番って、予約のお客さん来るんだろ? どうすんだよ!?」
「適当にそれっぽいこと言って返せば大丈夫! それにお前、確か昔トランプ占いやってただろ?」
「小学生のときだぞそれ……て言うか、叔父さんがそのお客を片付けてから行けばいいじゃないか」
「馬鹿言うな! その間にミユちゃんが他の男に指名されちまったらどうする!?」
「別の日にもう一度行って指名しろよ!」
「お前と男のロマンを語り合うのはまだ早いかな。ではさらばだ! あ、例のお客さんは7時に来るから! それからこれ、合鍵な!」

そう言うと、叔父はガウンを脱いで合鍵と共に俺に押し付け、脱兎の如く駆け出して行ってしまった。

「あっ、おい、待て!」

俺は途方に暮れた。いくらなんでも、ほぼド素人の俺が占いをしてお客さんを満足させるのは不可能に近いだろう。

「帰るか……」

とても付き合い切れない。そう思って帰ろうとしたとき、ドアをノックする音が聞こえた。

コン、コン

「え!?」

携帯電話を見ると、今がちょうど7時だった。予約していたお客さんが来たのだ。

「やばっ……」

叔父め。俺がギリギリ逃げられない時間に呼びつけやがって。再度ノックの音が響く。

コン、コン

「しょ、少々お待ちください!」

ドアに向かって俺は叫んだ。もうこうなったら腹をくくるしかない。叔父が残して行ったガウンを着ると、机の横の棚を見回した。うまい具合にトランプが見つかる。
よかった。トランプさえあれば最悪なんとかなるかも知れない。俺は急いで机の後ろの椅子に座ると、平静を装ってドアの方に呼びかけた。

「お、お待たせしました。どうぞ……」
「失礼します」

ガチャリとドアが開く。続いて入って来たのは、20歳過ぎぐらいの眼鏡をかけた美女だった。白いブラウスにグレーのタイトスカートという服装で、ハンドバッグを肩にかけている。黒い髪は、後頭部で団子状に結っていた。かなりの長身で、180センチ前後ありそうだ。
だがそういった特徴より、目を引くのは盛り上がったオッパイだった。俺の頭よりも大きそうな丸い膨らみが二つ、ブラウスを今にも突き破りそうに張り出している。
女性はこちらに歩いてきた。一歩進むごとにオッパイがバヨヨンバヨヨンと揺れ、オッパイそのものが歩いているような印象さえ受ける。その光景に俺は圧倒された。

「ううっ……」

美女は机の側まで来て立ち止まり、俺に会釈をした。

「こんばんは。予約していた、二良山 盛恵(ふたらやま もりえ)です……」
「お、お待ちしておりました。そ、そちらへおかけください」

俺は手を伸ばし、机の向かい側の席を進める。盛恵さんは俺の言うままに腰を下ろし、ハンドバッグを傍らに置いた。
机があまり大きくないので、二人の距離は1メートルもない。そしてその3分の1近くまで、盛恵さんのオッパイが侵食していた。

「よ、ようこそいらっしゃいました。当占い館の館長代理でございます。本日はわたくしが担当させていただきます……」
「改めまして。二良山盛恵と申します。年齢は23歳になります。女子大の大学院で犯罪心理学を専攻しておりまして、専門はレイプ、痴漢、セクハラといった性犯罪です……」

かなりのインテリのようだ。そのせいか、実年齢よりも大人びて見えた。こんな学のありそうな人が、占いなんか信じるんだろうか。


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