クセニヤ-2
ある晩、クラスメートからまた動画付きのメッセージが届いた。クセニヤと、送信元にあったが、森村は、誰だったか顔も思い出せず、画面を見てようやく分かった次第だった。クセニヤとまだ森村は殆ど話をしたことがなかった。だから体ももちろん知らない。
「森村くん、明けましておめでとう。元気ですか。あたしは冬休みは少し調子がいいです。」
クセニヤはよく学校を休んでいた。理由に興味がなかった森村は、いないか来ているか程度の認識しかしていなかった。病気なのだろうかとこの時はじめて気に掛かった。
「ナターリヤが言ってたんだけど、クラスのみんなで森村くんにビデオ送ってるそうだから、あたしも送ってみたの。」
細身で青白い顔に、長い真っ直ぐな白っぽい金髪が、いかにも弱そうな印象を与えた。
「今日はいろいろ告白します。恥ずかしいけど聞いてね。あたしの病気は、起立性調節障害っていうのと、小児鬱って言うんだって。朝、起きられなくて、午後になると少しいいの。学校に行ってないから、お友達も本当はいないみたいなものなの。ナターリヤは来てくれるけど。大体、うちで寝ているか、本を読んでいます。覚えているか分からないけど、森村くんが来た最初の頃、アナスタシヤに脱がされたことあったでしょ。あの時はあたしもいて、ごめんね、森村くんのおちんちん、いっぱい触っちゃった。」
そのアナスタシヤの女のところを見ない日のない森村は、今では何の恨みも、誰に対しても無いのだったが、大抵、罪悪感に苛まれていた女子たちのほうから寄ってきては、体の関係を持つことで、新たに深く知り合ってきた。
「それからね、忘れられないの。手触りを思い出しちゃって、あたし、学校に行けないとき、ベッドの中で自分のを触るのがやめられなくて。ナターリヤのも、他の子のも、森村くん、あれから触ったんでしょ? あたしにもしてほしい。女の子の恥ずかしいこと、見せるから、帰ったらあたしとして。お願い。」
そう語った動画の中のクセニヤは服を脱いだ。痩せて肋骨が分かる胸に、そばかすと小さな膨らみがあった。しかしカメラをクセニヤは、座った脚のあいだへ据えかえて、桃色の性器を画面一杯に映し、触り始めた。
痛くないのかとこちらが思うような勢いで、左利きのクセニヤの指二本は溝の中を上下し続けた。水たまりをかき混ぜるような音が大きくなっていく。
「見てる? 恥ずかしい! ああああ、いくいく。」
クセニヤの溝から画面に何かが噴き出した。森村には見慣れたものだった。ただ、ほかの女子と違ったのは、クセニヤのその行為が何分経っても終わらないことだった。後からクセニヤの顔よりそこのほうが思い出されるほど、森村は見せつけられた。動画の終わりは挨拶もなく、腫れて開いた紅色の女性器が大きく映し出されたまま止まっていた。