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約束のピンキーリング
【女性向け 官能小説】

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「イヤなのよ」
「何が?」
「岡本主任の機嫌に一喜一憂する自分が!」
「・・・・」

「彼氏でもない男に振りまわされるのがいやなのよ」

私のその言葉に岡本主任はまぶたを閉じた。

そしてゆっくりと息を吐き出した。

「なんでそんなに機嫌が悪いのよ。
会わないって言ってるのに」
「・・・・」

「あなたが・・・」
「私?」
「中村さんが、元カレからのメールに嬉しそうにするから」
「え・・・」

「だから。フラれた相手のメールに嬉しそうにするから機嫌悪かっただけ!!」


そう言ってエレベーターホールで私を抱きしめた―――


ポンッと小さい音がして目の前でエレベーターが開いた。

中に居たのは運悪く新田常務と加賀部長と武田さんで
岡本主任は腕の中から抜けだそうとする私をさらにギュッと抱きしめた。

「俺たち乗らないのでどうぞお先に」

と、岡本主任はしれっと私を抱きしめたまま言った。

静かに閉まるドアの向こうで新田常務と加賀部長は笑いをこらえていて
武田さんは小さくため息をついて目をつぶった。

「ちょっと!」
と、抗議をする私に
「話が終わってない!」
と、私を離さない。

「着信拒否・・・」
「え?」
「フラれた相手のメアドを着信拒否にしていなかったなって考えた私自身に可笑しくなっただけ」
「・・・・」

「嬉しくなんかないわよ」
「・・・ほんとに?」

力が抜けたように、ギュッと抱きしめていた腕はそっと私を包むように変わった。

「待ってて。荷物持ってくる。このまま帰ろう」
「まだ仕事終わらないんでしょう?」
「明日やる」

そう言って、廊下を戻り会議室に入る彼の背中を眺めていた。




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