☆-5
何言って・・・
どこからそんな考えが!
「会うなら一緒に行くって言ったよな?」
会いに行くんじゃないわよ!
「会わないって言ったわよね。帰るのよ」
これ以上、言い争いをしたくなくて片付けて部屋を出た。
岡本主任の雰囲気に惑わされる自分がいやだ。
彼氏でもない男の機嫌が悪い事に悲しくなる自分がいやだ。
早歩きでエレベーターホールに来て降下のボタンを押す。
ここしばらく一緒に居過ぎた。
一緒にご飯を食べて
一緒に笑って
一緒に仕事をして・・・
キスをして抱きしめられて。
その居心地の良さに、それ以上手を出してこない「あいまいな関係」に満足していた。
はっきりとそれ以上を求めない岡本主任に
私もそれ以上を求めなかった。
だから2人の関係はあいまいで
決して彼氏彼女じゃない。
なのに―――
岡本主任が機嫌を悪くするその雰囲気に翻弄される自分がいやだ・・・
後ろでシャッと会議室のドアが開く音がした。
エレベーター早く来い!!
「おい!何怒ってんだよ!」
肘を掴まれて無理やり振り向かされた。
「言えよ」