[有害図書・後編]-11
「や"あ"ーーッ!!あぎッ!?い"や"ーーーーッ!!!!」
座薬以外に初めて入り込んだ其れは、まさに《蝕む》という表現しか当てはまらない悪戯であった。
指の関節を使って肛門を捲り上げ、まるでナメクジが這うようにジワジワと内側を撫でまわす。
不可思議な便意すら催させる強烈に過ぎる嫌悪感は少女の羞恥心を突き破り、頭がもげ落ちんばかりに振り乱された。
『そろそろ限界かな?用心しておきますかあ』
『そうですねえ。ケガとかされたらお楽しみが台無しですからねえ〜』
「わ、悪いコトしてないのにぃッ!!私ッ…私は……うぎ〜〜〜〜ッ!?」
グルグルと回る視界の隅に、白い手拭いが見えた……次の瞬間、愛の口角に痛みを伴う圧迫感が生まれた……猿轡を咬まされたのだ……。
『これでいくらパニックになっても舌を噛んだりしないねえ?ウフフ…好き放題しちゃうよ、愛ちゃ〜ん?』
『恥ずかし過ぎて気絶なんかしたら、遠慮なくビンタしちゃうから。でも安心してね、猿轡してるから口の中が切れたりしないから』
「……ふ…ぎッ!?い"ぎ〜〜〜〜ッ!!」
前歯を剥き出しにするほど締め上げてくる手拭いは、愛から言葉を奪い取って物言えぬ《肉達磨》へと堕としてしまった。
胸肉の弾力を楽しまれ、秘穴に指先を入れられた幼器はパックリと開かれ、肛門は中から外から弄ばれる……それは愛にとってはレイプではなく、惨虐な《拷問》に等しかった……。
『ムフフ……青紫色の臭そうなクソ穴が指をキュンキュン締めてくるよぉ?ココがこんなに気持ちいいなんて知らなかったよねえ〜?ムッフフフフ〜』
『オマンコの穴の入り口も気持ちいいでしょ?デリケートな…ウフフッ…イヤラしい穴だねえ〜』
「い"ーーーーーッ!?ぷひぃッ!!むぎーーーーッ!!」
『クリトリスの皮を剥いてあげようか?イヒヒッ?こんなに勃起させちゃってえ〜。もう真っ赤じゃないかあ』
『愛ちゃん、乳首も弄って欲しいの?そうだよねえ?乳輪ばかりじゃ刺激が足りないよねえ〜
?』
卒倒しそうになる愛の脳裏には、いつも過ごしていた我が家での生活が浮かんでは消えていた。
あんなにも邪魔でうざったいと思っていた父親や母親に、今は会いたくて堪らない。
自分の身体を喰い尽くそうとしている鬼畜共を追い払い、平穏だった〈あの日〉に戻して欲しい……。
(……い…ッ…嫌…だッ!?)
子犬がミルクを飲む時のようなピチャピチャという音が、何処からか聴こえてきた……それは自分の秘穴をまさぐる指の動きと完全に同調しており、それはつまり、清純な身体の堕落を意味していた……。
『うほほぉ!?愛ちゃんのラブちゃんが涎を垂らしましたよぉ?』
『コレがホントのラブジュースですね!どれ、記念に写真を撮ってあげましょう』
「ッ〜〜〜〜!!!!」
日頃から抱えていた自己否定は、この状況下において自己嫌悪へと昇華した……こんなにも気持ち悪くて苦しい思いをしているのに、何故自ら醜態を曝すのだろう……自分自身の肉体を責める愛に畳み掛けるような接触に、悲劇の渦中にある幼い女体は哀しくも爆ぜた……。
「う"ん"ん"ッ!?」
不意に鼻から抜けた声は、ずっと声帯に待機していた声だった……焦らしに焦らされた乳首を指先で弾かれた衝撃に、思わず飛び出してしまっていたのだ……。
『お〜……今のイヤラしい声、聴きましたかあ?』
『乳首で感じちゃったんだよね?気持ち良かったんだもんねえ〜?』
「ッッッ!!!!」
自分の身体は《犯された》んだ……。
もうそうとしか思えない……綺麗な部分は何処にも無くなって、尚人の彼女に相応しくない女の子になってしまったんだ……自分を責める愛を囃すように秘穴は淫らに囀り、背筋は箍が外れたように爆ぜて止まらない……。
(私は……わ、私なんか…ッ!)
ただでさえ冷静さを失っている状況下である。
激しい自己嫌悪は自傷行為に及ぼうとするまで膨れ上がり、希望も未来も失ってしまったと打ち拉がれた愛は、舌を噛み切って自ら命を絶ってやろうと自棄に陥ってしまった。
(……な…尚人……さん…!)
口から血を流す姿を見たら、この暴力行為を止めてくれるかもしれない。
いや、例え止めなかったとしても、こんな生き地獄に居るくらいなら死んでしまった方が……。
愛は思い切り口を開き、前歯の間に舌を置こうと伸ばした……しかし、手拭いが邪魔をし、舌は前歯まで届かない……いくら頑張っても、どんなに力を込めても、舌は届かなかった……。