ン-6
「中村さん、彼氏いるよね?」
なん、で・・・
「なんでそんなこと知ってるんですか!」
思わず言葉遣いが荒くなる。
「知ってんだよ。で?別れたの?」
「ふ、振られたのよ!」
腕を離さないまま、私の眼の奥を喉きこむ。
まるで心を覗き込むように・・・
「へ・・・ぇ。知らなかった」
そりゃそーでしょ。
そんな事を話しあうような仲じゃない。
「予定変更!」
「え?」
岡本主任は私たちが今さっき乗ってきたエレベーターの下降ボタンを押した。
「報告書は明日にしよう」
「え・・・」
「飲みに行くぞ!」
腕を掴まれたままポンッと音がしてドアが開いたエレベーターに私たちは乗り込んだ。