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約束のピンキーリング
【女性向け 官能小説】

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プロジェクト始動前のこの日は、主にあいさつ回りで終わった。
上手く行ったと思う。

岡本主任が得意先であんなに可愛がられているとは嬉しい誤算だ。
色々な事を加味してこのプロジェクトに抜擢されたんだろう。

「中村さん、上がって良いよ」

最後のアポ先を出たところですでに終業時刻になっていて
腕時計を見ながらそう言う自分は会社に戻る気満々らしい。

「主任は戻るんですよね?私も戻ります。報告書を仕上げたいので」
「いや。初日から飛ばすなよ」
「・・・・」
「明日から忙しくなる」

「戻ります」
「・・・分かったよ」

7時過ぎに戻った社内は、まだまだ就業時刻内のように活気があって
エレベーターの中で小さく息を吐いて報告書をまとめる気合を入れる。

明日から、忙しくなる。
どんと来いよ!

あ、ぁ。でも、またこのプロジェクトが終わるまで
プライベートがおろそかになるな。

仕事は楽しいけど。こんなプライベートが充実しない生活を後何年続けていくんだろう。

ポンッ!という小さな軽快音とともに今回のプロジェクトのための貸し切りになっている会議室の階に降り立った。

エントランスでのにぎやかさとは逆に
静かなその廊下は
エレベーターから降り立った私たちの動きで、人感センサーの明かりがパッとついた。

その時、ポンッと同じ音がして、隣のエレベーターもこの階に止まったことが分かった。

この階に?

岡本主任と少し不審な思いで隣に止まったエレベーターから誰が降り立つのか見守る。

「あ。中村さん。良かった」



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