投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

14's CHOCOLATE
【コメディ 恋愛小説】

14's CHOCOLATEの最初へ 14's CHOCOLATE 23 14's CHOCOLATE 25 14's CHOCOLATEの最後へ

Future's CHOCOLATE-1

「コノ子さん、志望校は決まってますか?」
「いえ…まだ…」
先生が何かをノートにサラサラと書き綴る。
「そうですか…では、このパンフレットを見て大体の目安を付けておいてください」
アタシは差し出された数冊のパンフを受け取った。
「将来のことは何か考えてますか?」
「将来?」
唐突な質問にアタシは戸惑ってしまった。将来って何だろう。
「何かなりたいと思っている職業はありますか?」
ああ、将来どうこうしたいとかじゃなく、職業のことか。
「あります」
アタシはすぐに答えた。
「何になりたいの?」
「私がなりたいのは…」


夏休みが終わり、学校は一気に受験モードに突入した。
正直、夏は暑くて勉強どころじゃなかった。だけど、九月にもなると窓を開ければ涼しい風が入ってきてとても過ごしやすい日が続く。勉強も夏よりはかなり集中できた。
教室でも放課後勉強をする人が増えてきた。
「哲希、ここの合同条件わかんないんだけど…」
もちろんアタシもその中の一人。最近になってやっと哲希と一緒に勉強するようになった。
「あぁ、これか?コレはこことここが一緒で、ここが対角だから…」
哲希は本当に頭がいい。特に数学が得意らしい。確かテストはいつも90点以上だったような…。
「聞いてんのか?」
「あ、うん、バッチリ!」
「そっか!!」
哲希がニッコリ微笑んだ。
「同じ高校行くんだもんなっ」
「うん…!」
アタシは自分の心の中を悟られないよう、いつもと変わらない笑顔で頷く。
「頑張ろうなっ!!」
哲希の嬉しそうな笑顔が胸に刺さる。あぁ、アタシ最低…。


学校からアタシの家は比較的近い方なので哲希はいつも送ってくれていた。今日も他愛の無い会話をしながらの帰宅。
自分の部屋でこの間先生に貰ったパンフを取出し眺める。進路のことを考えると、どうしても思い出してしまうのが面談の時の先生の言葉。

『そう。それならこの進学校より、こっちの方がいいでしょうね』

勧められた高校のパンフを開く。生き生きとした女子生徒の写真が載っている。その右斜め下にはクラス全体の授業風景だろうか。真剣にノートを取る生徒たちの写真。
一瞬…この校舎で、この制服を着て、笑いながら高校生活を楽しむ自分の姿が見えたような気がした。
次に手に取ったのは哲希が、ううん、アタシも目指している進学校。パンフの一番上には『進学率100%』と大きく赤字で書かれている。最後のページには、どこの大学に何人行ったかがパーセンテージで表されていた。確かに、有名大学に何人も進学しているようだ。
「はぁ…」
面談の日からため息が増えたと思う。自分の未来のことを考えると不安でたまらない。真っ暗闇の中で四方八方に広がる道の真ん中にいるような…。たくさん選択肢はあるのに、その先は何も見えない。遥か向こうに目標である出口は見えるのに、どの道がそれに繋がっているのかわからない。正しい道を選んだとしても、途中にどんな試練が待ち構えているんだろう。…コワイ。このまま投げ出せたらどんなに楽だろうか。だけど、それを避けることは出来なくて…。じゃあ、アタシは一体どこへ行けばいいの?誰か助けて…!アタシに教えて…!しかし、そんなことは誰も教えてくれない。最終的に決定権を持っているのは自分自身。わかってるんだよ、頭では!!皆が同じように悩んでるのも知ってる…。だけど、まだ自分の道すら定まっていないアタシは、皆より出遅れてるんじゃないかと思って…。アタシは…どうすればいいの?


14's CHOCOLATEの最初へ 14's CHOCOLATE 23 14's CHOCOLATE 25 14's CHOCOLATEの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前