奴隷里紗との主従愛の序曲調教 ２-1
里紗は、朋世女王から手紙が引き継がれたはずだと思いますがと、消え入るような小さな声で言った。私は良く聞こえなかったので、里紗に聞き直した。
「サロンで、躾調教を受けていました朋世女王さまから、ご主人様にお手紙が届けられたと思います。そのお手紙には、里紗の性癖や調教の感想を書き留めているとお聞きしています。朋世さまから、ご主人様に調教前に是非お読みいただくように伝えるように命じられています。私の調教の参考にどうぞご覧くださいませ。お願いいたします」
と、里紗は伝えた。私は搬送責任者の男から渡された封筒の中身を全て出した。そして、「奴隷女里紗落札の悦雄ご主人様へ」と表書きされた封筒から朋世女王からの手紙を取り出した。その封筒には、サロンからの奴隷オークション参加に対する礼状と、落札奴隷里紗の調教にあたっていた朋世女王からの調教履歴や調教で感じた性癖の評価を、さらに今後の里紗への調教の楽しみが記した「奴隷里紗診断書」なるものが入っていた。
私は、その手紙を読むにあたって、私の目で土下座し控える里紗の背中に、わざと両足を乱暴に投げ出し乗せた。里紗は突然の背中への両足の投げ出しに驚いたのか、足の重みから逃れようと身体を揺すった。そして、「あぁ、うぅうふぅ…」と唸った。
私はそんな里紗の動きを許すつもりはなかった。逆に両足の脚を立てて力を込め背中を押さえた。私の両足の動きは何を求めてのものかを感じた里紗は、すぐに大人しくし土下座の姿勢を正し維持した。
まだ、私という主人のことを知る前に、奴隷として平伏土下座の姿勢をとらされた里紗の心中は、複雑な感情が込み上げてきたことだろう。私が手紙を読んでいるあいだ、じっと里紗は我慢を強いられ、人間扱いされることのない奴隷の身分を思い知らされたのか、涙を流して泣いていた。
私はあえて里紗に声をかけなかった。奴隷として引き取られた現実を思い知らせるこ必要がまずあったからである。主従の絆を強めていくためには、所有者と奴隷との身分の差を互いに認識して愛を育てていく必要があると思ったからである。
手紙の内容に目を通した私は、里紗の背中から足を降ろした。そして、首輪のリードを取って軽く引き上げた。里紗は引き上げられた所作を受けて、土下座の姿勢から身を起こし、次の命令を待つように私の顔を見上げた。しかし、その見上げた顔は、直ぐに視線を反らしてうつむいた。
私は里紗の頭を愛おしそうに優しく撫でた。
「里紗、疲れただろう。少し休みなさい。もういいよ。さぁ…私の横に座りなさい」
と呼び掛け、里紗はようやく土下座の姿勢をといてソファーの私の横に座った。しかし、里紗はまだ緊張がとけないようで、私と顔をあわせることもなくうつむいていた。また、首輪の位置が気になるのか、度々位置をすらしたりして落ちつかないようだった。
少しでも里紗の緊張をといてあげたくて、私は応接間に設えている小さな喫茶用の台所に向かった。そしてコーヒーを入れる準備をした。里紗との会話は相変わらず弾むことは無い状況に、私は少し焦っていた。余り女友達と遊んだ経験が乏しいこともあって、実のところ少し困惑状態に陥っていたのである。
当然、二人きりの部屋の空気は重たげな静寂だけが漂う状況になった。これはまずいと、私は思い里紗に話しかける内容をコヒーを入れながら考えていた。当たり障りのない趣味や食べ物の好き嫌いなど通り一遍のことを聞いて何になる。そんなことは、もっと気心が通じるようになってからでも聞けることだと思いなおした。
里紗は、相変わらず無言で緊張して落ち着かない態度でいた。手の指を盛んに組みなおしたりしながら耐えるように座っていた。私はコヒーカップを持って里紗に手渡した。私は意を決して、里紗は何ゆえにサロンのオークションに参加して、自分の性癖を満足させるために、見知らぬ男に身を任せる調教対象の奴隷になろうとしたのか、私はその気持ちを里紗に直球勝負で聞きことにした。
初対面の相手から、そんな話を最初から話させようとする私に対して、里紗はどのような気持ちに陥らせるか分からなかったが、ここはあえて、主従の絆を結ぶためにはストレートな質問で忌憚のない里紗の気持ちを聞き出す必要があると感じたからである。
私は人にはそれぞれの生き方があるので、人の人生をとやかく面白がって探るようなことには興味がなかった。ただ、里紗に見知らぬ男に落札されれば、半年間は調教支配権を与えることになるサロンのインターンシップ奴隷制度になぜ応じたのか、そして、会員制ＳＭサロンに入会を思い立った理由だけでも、最初に聞いておく必要があると感じて尋ねたのである。