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奴隷里紗との主従愛
【SM 官能小説】

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奴隷里紗の争奪オークション 3-1

 他の客を欺くように、私は別の女の資料を何度も繰り返し確認して、舞台の里紗に余り関心がない振りをした。私は老人がbQの奴隷女を落札した時の同じく、最後の最後に手持ちの377PT全てを注ぎ込んで里紗を獲得することを目指した。その決断に至った心の余裕もあって、応札が始まるのを意外と冷静に待つことができた。
 会場は押し黙ったように沈黙をする異様な状況に陥った。司会者はその異様な雰囲気に逆に驚いたようで、客に話しかけてきた。
「皆様、どうされました。こんな可愛いマゾ女ですよ。落札されたら、最低でも半年間は自分の奴隷女として調教を楽しめますよ。さぁさぁ…。応札願います」
と司会者は活発に競売に応じるように客を誘った。
 舞台上の里紗は、競売の競りさえ始まらずに晒し者にされている自分に対して、少し悲し気な表情を浮かべながら落ち着きを失って、両足を小刻みに震わせていた。そんな里紗を朋世女王はいたわるように抱きしめ、耳元で何やら励ましているような言葉を掛けているように見えた。
 前席の座席番号4番の客が、堪らず手をあげ「200PT、無理かなー」と不安そうに応札した。この中年の男は、最初の恭子にも応札していたことから、これで2度の応札となり自動的に60PTを消費したことになる。さらに上乗せし応札しても、残りは精々100PT当たりが限界では無いかと私は読んだ。この想定が合っているようなら、私の持ち点全てで十分に勝てると踏んだ。
 私は10人の競争相手のうち1名は脱落し、残りの9名との闘いだと思った。また最初からのオークション時の応札者の番号を控えていたが、残る9名のうち6名は既に30PTから60PTを応札で消費していることから、これらの客達も、手持ちは多く見積もっても250PTから300PTあたりではと推測した。
 されば、まだ一回も応札していない4名の客が、私にとって里紗の争奪相手になると考え、客同士の出方を冷静に観察していた。そのうちの一人が、座席番号9番の札を上げて立ちあがり、興奮した面持ちで「300PT」と大声で応札した。この声につられるように、今まで一度も応札をしていなかった客達が、ここが勝負処と読んだのか「330」「340PT」「345」「350いや360PTでどうじゃ」と小刻みなPTの上乗せで応札合戦を繰り広げた。
 その状況は、まさに客同士の駆け引きのたがが外れて、堰を切ったように活発な応札の連続となった。応札に出た客等の手持ちのPTは、もう精々15PT〜20PT程度と踏んだ。私の思わず誘われるように応札を考えたが、まだ本当の勝負処では無いと思い我慢をした。さすがに私も興奮しているのか動悸が早くなり身体が熱く感じていた。
 しかし、私の頭は意外と分析を繰り返していたので冷静であった。360PTの応札があったところで、私は勝負処は最大380PTを切る辺りで、最後は僅かなPT差で決まると読んでいた。
「360PTまで競り上がりました。この奴隷女にしましては、まだ低いと思います。見ての通り、とてもスレンダーで美しい体形の美人です。どなたか更なる高いPTでの落札お願いします」
と、司会者はさらに客を煽った。私は「その手にまだ乗れませんよ」と心の中で呟いていた。なぜかと言えば、一度も応札していない客が前列に一人いたからである。私はまだまだ里紗の落札まで油断は禁物と気を引き締めていた。活発な応札合戦が収まると、再び会場は息詰まるような雰囲気に帰った。
 そんな静寂な空気が漂う会場に、それまでの応札で持ち点が既に減少して里紗を手に入れる可能性が無くなった客が、司会者の煽る言葉を受けて、思わぬ突飛な提案をした。
「そら、無理な話だよ。もう落札できるほどPTは残っておらんわ。PTの前借できるようにならんのか。300PTとか前借させてくれよ。舞台の美女を是非落としたいんだ」
と、司会者に笑いながら提案した。その突飛な提案に失笑しながら司会者は答えた。
「お客様、なかなかのウィットのある提案ですが、お気持ちは理解します。ただサロンの決まりで、PTの前貸しの制度がありませんのでお断りいたします。悪しからず」
「了解、了解、分かっているということよ。余りに良い女だから惜しくてよ」
と50過ぎの男が、司会者が述べた断り理由を了承しながら、里紗への思いを伝えた。会場は爆笑の渦が包んだ。その笑いが落ち着いた頃に、満を持していたように自信ありげに応札する声があがった。


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