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悠子
【その他 官能小説】

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悠子-17

 「マスターと奥さんのなれそめってまだ聞いて無いんですけど」
 「そんなこと聞いてどうする?」
 「聞きたいの。聞かせて下さいよ」
 「別に話すほどのことも無い。ただ、僕が彼女を見そめたっていうだけ」
 「奥さんが働いているお店でですか?」
 「そう」
 「一目惚れですか?」
 「そう」
 「どんな感じだったんですか? 奥さん」
 「どんな感じって?」
 「だから一目惚れした時の奥さんはどんな風に見えたんですか? どんな服を着ていたとか」
 「ビキニを着ていた」
 「え? そういうお店なんですか?」
 「そういうって?」
 「ピンサロみたいな」
 「ああ、違う。普通のフィリピン・クラブさ。僕が店に入ったとき、たまたまショータイムだったんだ。それで彼女がビキニで踊っていた」
 「ゴーゴーですか?」
 「違うな。そんな動きをする時もあったけど、もっとゆったりしたセクシーなダンスだった」
 「セクシーなダンス?」
 「そう。セックスしているみたいに腰を動かしたり、脚を拡げたり。彼女脚が180度開くんだ。立ったまま柱につかまって脚を垂直に上げたりしてたんだよ」
 「両脚を?」
 「馬鹿。両脚上げたら立ってられないだろ」
 「だって柱に捕まってって言ったから」
 「違うよ、片脚が下で片脚が上向いて柱と同じに脚がまっすぐ1本の棒になってるんだ。それから床に座って脚を180度開いたり」
 「体が柔らかいんですね」
 「うん。僕もそう思った。だけど後で一緒になってから分かったけど、彼女体は固いんだ。もともと脚なんかそんなに開かなかったのを訓練であそこまで出来るようにしたんだな。偉いもんだよ」
 「訓練? そういう訓練をしたんですか?」
 「そう。日本にはフィリピン人が大勢いてホステスやってるだろう? あれは皆エンターテイナー・ビザってもんで日本に来ているんだ。まあ観光ビザで来たり日本人と結婚しているということで来てる人もいるけど、大体はエンターテイナー・ビザで来てる。エンターテイナーというのはホステスのことでは無いよ。文字通り芸人なんだ。ダンサーか歌手っていうことで来てるんだ」
 「それで訓練するんですか?」
 「そう。今は何だか規制が緩やかになったのか、歌も踊りも下手っていうフィリピーナが沢山いるけど、昔は厳しかったんだ。歌手として来ている子は歌が抜群に上手いし、ダンサーとして来ている子はダンスが上手い。そんなの当たり前だな、プロのエンターテイナーとして来てるんだから。歌手なんか日本の歌手が聴いたら腰抜かして立てなくなってしまう程上手い。ダンサーなんて日本の歌番組の後ろで踊ってる連中が学芸会に見えてくる程レベルが違うんだ。そんなのが皆普段はホステスとして働いていてショータイムの時だけちょこっと芸を披露するんだよ。勿体無い話なんだ」
 「それで奥さんのダンス見て一目惚れしたって訳ですか」
 「ああ、まあダンスとおっぱいだな」
 「あ、なるほどね」
 「あの腰の動きとおっぱいの揺れ方見たらもう抵抗出来ないね。男としては」
 「おっぱいの揺れ方ね。私も揺れますけど」
 「君のは揺れてもさざ波だろ。女房のはぶるんぶるんって大波なんだ。男はその大波にひと飲みにされちゃうんだよ」
 「失礼なこと言いますね。奥さんが大きいのは分かったけど、私のだってぶるんぶるんって揺れます」
 「だからレベルが違う。学芸会とプロフェッショナルの違いくらい」
 「ふん。まあいいわ。それでそのぶるんぶるんにひと飲みされてどうしたんですか?」
 「ショーの後直ぐ僕の席に呼んださ。話したらまだ来たばっかりで全然日本語が喋れないんだ。いらっしゃいませ、何飲みますか、歌って下さい、の3つしか言えないんだよ。客が何言ってもそのどれかを言うだけなんだ。『いい体してるね』と言ったって『唄って下さい』って言うんだから話をはぐらかされたみたいな気がしてしまうだろう? だからあれだけのおっぱい持ってるのにあんまり指名が無かったんだな」
 「ビキニで席に来たんですか?」
 「違うよ、それはショーの衣装。席に来る時は普通のホステスの服装だよ」
 「どんな?」
 「こんな感じに胸が開いたパンタロン・スーツで、透けてるんだ。で、小さいショートパンツを下に穿いていた」


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