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(ホント、人間みたいだわ)
快楽に身を任せる反面、冷静な観察眼でシンを見つめる麗子。
シンは、麗子の気がそぞろになっているのを敏感に察知して、
『ダメだよ、麗子? ちゃんとこっちに集中しなきゃ』
と、彼女の小ぶりの鼻を、人差し指でチョンと突く。
そんな仕草もあまりに自然だ。
「あ、ご、ごめん……シンに見とれてて」
照れたように顔を赤くしてしまう麗子に、シンはクスリと笑って瞳を細めた。
『可愛いこと言ってくれるね。ご褒美あげなきゃ』
そして、シンは再び腰を激しく打ちつけてきた。
「はあああっ!! あう……っ」
再び押し寄せる強烈な快感の波に、麗子の甘ったるい声が響く。
今度は麗子の頭の中に余計なことは一切ない。
純粋に、シンとのセックスに集中し始めた。
「あっ、あっ、あんっ、あんっ……」
麗子はどうしていいのかわからないようで、顔を左右に振りながら、必死にシンの身体にしがみついている。
シンのペニスは、麗子の中の一番感じる所を的確に突いているので、彼女の身体は絶頂まですぐそこに向かっていた。
(声のトーン、筋肉の収縮率、体温、心拍数、愛液の分泌率、問題なし。エクスタシーまでおよそ15秒……)
麗子の反応をジッと見ていたシンは、頭の中で計算すると、腰の動きをさらに一層激しくした。
このリズムが、この位置が、一番麗子がイキやすいパターンであることをシンは学習していたのだ。
『やっぱり麗子は、感じてる時の顔が一番綺麗だよ』
そして言葉を掛けてあげるのも忘れない。
目を見て、気の利く言葉を掛けて、キスをして。
そこまでできるシンはもはや人間と同等、いや、それ以上であった。
「ああんっ、もうダメ……イキそ……う」
『いいよ、麗子。いっぱい気持ちよくなって?』
「ああ、シン……。もう、ダメ……イッちゃう……イクゥゥ!!」
シンの読み通り、麗子は15秒後にそのまま身体を仰け反らせ、達してしまった。