伝説君臨-3
まさにドラマの中で起こっている事のようだ。警察の悪を扱うドラマは多い。権力の前にシロがクロ、クロがシロになる内容に、いつもマギーはテレビを壊したくなるような怒りを感じている。それがまさに現実として目の当たりになり、マギーは怒りと言うよりもやるせなさを感じてしまう。
「上原さんならきっと…」
マギーはそう信じていた。そんな権力などに屈しず、きっと本当のクロを探し出せと言ってくれるに違いない、そう思っていた。
衝撃の方針を聞いてから3時間、石山はまだ警視庁へ向かう様子はなかった。石山も何と報告をしようか迷ってるのかな…、そう心配になった。
その時、勢い良くドアをバタンと開ける音がした。そしてみんなが驚き振り向くと、うっすらとブラウンに染めた長髪をなびかせサングラスをかけ、ミニスカートのセクシーな黒のスーツ姿で威風堂々とこちらに顔を向ける女性が立っていた。その女性はハイヒールをカツカツ鳴らしながら中へと進み、行き当たりになった場所で振り向きサングラスをとった。
「あ…!」
全員がその女性を見て口をポカンと開けていた。女性は威圧的に一同を見渡すと、腕組みをしながら宣言した。
「権力には、屈しません!致しません!」
全員の耳に突き刺さるような声で言った女性、それはそう、上原若菜であった。
「う、上原さん…!?」
まさか登場するとは思っていなかったマギーは目を丸くして驚いた。
「高島謙也??恐れる事はないわ!たかが片田舎の県知事ごときで警視庁に圧力をかけようなんて笑っちゃうわ!次期主相??決まる前からそんな肩書きひっさげて、マジムカつくし!遠慮する事はないわ!ヤッちゃいなさい!!」
若菜は堂々と言い放った。
「私のとこにも来たわよ?電話が。この件から手を引けってね。まー、ヤダって答えたけど。致しませんって、ね!」
どうやら今日は大門バリに致しません、と言いたい気分のようだ。しかし誰も突っ込まなかった。
そこへ石山がやって来た。
「しかし上原、今回ばかりはマズいんじゃ…」
「石山さん、正義に今回も次回もないですから。目立の創設者!?ふざけんなって!大人しくテレビでも作ってろって感じだわ。」
「だが…」
地元の有力者を敵に回す事がどれだけ大変か知っている石山は、若菜が言っている事が正しいと思いつつも、素直に賛同する気持ちにはならなかったのであった。