体に興味、あります-1
「焦りすぎちゃったのかしらね、私。」
「凛花先輩?」
お風呂を上がった二人は浴衣姿でそれぞれの布団に入っている。
合宿棟A7フィアーは、全体的に洋風の女学院内にありながら何故か和風建築で、宿泊する部屋も畳の和室だ。
それは、天然温泉があるからかもしれない。
逆に、温泉が出た場所に合宿棟を建てた、とも言われているが、ずいぶん昔の事なのでよく分からない。
「初めて会った日の事、覚えてる?彩音。」
「ええ。新入生歓迎コンサートの会場で、声を掛けて下さいましたね。」
「それより前に、もう会ってたじゃない。」
「覚えててくれたんですか!入学式の朝の事。」
「忘れるものですか。私はあの日、あの時、あなたを見付けた。」
彩音が目を丸くして息を飲んだ。
「それじゃあ、もしかして凛花先輩もあの瞬間に?」
「そうよ。」
「それにしては、最初の頃ずいぶん冷たかったじゃないですか。」
彩音が拗ねたように言う。
「それは…私だって、恥ずかしいと感じる心はあるのよ。」
「男の子が好きな女の子にイジワルする、みたいな?」
「それ。」
彩音が、ふぅ、っと息を吐いた。
「私、結構悲しかったんですよ?」
「ごめんね、反省してる。強引に触ったことも。あなたの意思なんてお構いなしだったものね。」
「それについてはいいんです。だって、そのおかげで私は…。目覚めた、っていうんでしょうか、こういうのって。」
「そうなの?私のすることで悦びを感じてくれてるのだとしたら、すごく嬉しい。たとえ、あなたは私の体に興味がないとしても。」
「あります!」
「え?」
「あ、あの…凛花先輩の…体に、興味ありま…す。」
彩音はゴロンと向こうを向いた。
「嘘でも嬉しいわ。」
「嘘じゃありません!」
バサリ。
布団を乱暴に捲った彩音が立ち上がった。
そして帯を解き、浴衣を床に落とした。
「ちょ、ちょっと、何してるのよ、彩音。」
ブラはしていない。
淡い水色のパンティに手を掛け、一気に脱ぎ取った。
凛花は突然のことに動くことも出来ずに彩音の白い裸体を見上げている。
「凛花先輩。あなたは私のこの体に興味を持ってくれてるんですよね?」
「え?ええ。もっとはっきり言うなら、性欲を感じているわ。あなたが欲しい。」
「わ、私も先輩が欲しい!」
彩音は凛花の布団を捲り上げ、彼女に馬乗りになって帯を解き、浴衣の前を開いた。そこには、ブラをしていない剥き出しの凛花の胸があった。
「ああ…」
彩音が、ため息のような声を漏らした。
「凛花先輩…」
「壊すというの?彩音。」
「壊せるかどうかは分かりません。でも、壊して到達したい。二人の真の悦びに!」
「彩音、分かってる?今までは私が一方的に触っていただけだった。でも、壁を壊そうとすれば、あなたは私に体を与えるだけでなく、逆に私の体も隅々まで知ることになる。そして、一旦刻まれた女同士の悦楽は、けして消えることはない。それでも壊すというの?壁を。」
「理屈は分かりませんし、分かっても意味がありません。私は…私はもう、我慢出来ない!」
彩音は凛花の胸に覆い被さった。洗髪で少し湿った彩音の黒髪が素肌の上に広がり、凛花は少しくすぐったそうにした。
乳房に頬ずりし、乳首に舌を這わせる彩音を、凛花は背中に腕を回してきつく抱きしめた。
「いらっしゃい、彩音。私をあげる。」
「先輩!」
彩音は上へと摺り上がり、凛花の唇を求め、彼女は応じた。
「ん…」
「あ…」
這い回る熱い唇と唇。
不意に離れた彩音が呟いた。
「凛花先輩と唇を合わせたの、これが初めてじゃないのに。なんだか初めてみたいで…不思議な感じがします。」
「私もよ。一方的に奪うのとはやっぱり違うのね。」
もう一度二人は唇を重ね合った。
凛花が舌を与え、彩音はそれを自分の舌で絡めとって互いの湿りを混ぜ合わせた。
「んん…」
切なげな声を上げたのは凛花の方だ。
「先輩、可愛い…」
「なによ、偉そうに。」
凛花がほほ笑んだ。
「だから、全部欲しい…」
舌を伸ばしたまま下へ下へと下がっていった彩音の両手が凛花のパンティを捉えた。
「ああ、この中に…」
「そうよ。欲しい?」
「ええ、欲しいです。」
凛花は膝を立てながら大きく足を開いた。
「欲しいならば、見ればいいじゃないの、彩音。」
彩音の指先が凛花の太腿の内側を這い、パンティの淵に掛かった。そのまま横に捲れば…。
「はあ…、はあ…」
「はあ…、はあ…」
そこを見ようとしている彩音。そこを見られようとしている凛花。二人は共に息を荒くしている。
「凛花…」
そう呟いて、彩音はパンティに掛けた指を横に動かした。
「見えた?ねえ彩音。私が見えた?」
「これが、凛花…」
「こら、先輩付けなさい。」
「あ、ご、ごめんなさい…凛花先輩。」
「うそ。好きに呼んでいわ。だって、私たちはもう…さあ、あなたのものにして…」
「ああ、凛花!」
彩音は指で凛花を開いた。凛花の唇が涎を溢れさせ、それを彩音は舌で掬い取った。
「この匂い、味…」
ベチョベチョベチョ…。
「あ、ああ、ああ…」
彩音に味わわれ、声を漏らす凛花。
ベチョベチョ…。
「ああ、彩音…」
ふと口の動きを止める彩音。