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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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L新たな容疑者-1

L新たな容疑者




捜査会議で多摩川は大谷史郎(久永光輝)の姉とその動きを発表し重要参考人に指名した。
捜査員から質問があった。「その姉さんの顔写真は無いのですか?」
「ええ。戸籍上彼に兄弟は居ないのです。だからこそ私は彼女を重要参考人だと言ったのです。
私はABC印刷の後の大谷の足取りはまだつかめていませんのでこの女も同じだと思われます。」
捜査一課長から捜査の割り振りが発表され多摩川と田川刑事は引き続きこの女の追跡を命じられた。
田川が言った。「多摩川さんこの女どうして丸亀の永田校長に行き着いたんでしょうね。」
「そうなんだ。あの辺りに土地勘があるのは明らかだね。
それと施設からABC印刷へとすぐさま調査の手を広げるなんて恐い程の執念を感じるんだ。
明日もう一度四国へ渡ろう。」
まず丸亀の永田校長を訪ねた。「大谷はあちこちで人に恨まれるようなことを繰り返していました。
しかし彼を一番恨んでいるのは殺された方の家族だと思うのです。被害者はどこのどなたかご存じありませんか。」
「私は覚えていないのですがその当時の新聞には名前が載っていましたよ。勿論加害者は少年Aですけど。」
被害者の名前はすぐに分かった。同じ川之江市大手町に住むトラック運転手の大道直哉(当時26歳)である。
残された家族は2年前に結婚した妻と1歳の男の子の2人だ。
だがこの二人その数日後、密に街を去ってその後の行方はようとして知れない。
被害者である大道家族がなぜ雲隠れしたのであろうか。
その被害者大道直哉の実家が松山にあると聞いて訪ねる事にした。孫の所在を知っているかもしれないからだ。
今夜の宿を新居浜の別子温泉に求め二人の刑事は久し振りにのんびりとした夜を過ごした。
食事のあと温泉につかり布団に入って話しかけた。「田川君ちょっと事件を整理してみようか。
大谷史郎が13歳の時に喫煙を咎められカッとしてその人を殺してしまったのが最初だったな。
場所は川之江の大手町、相手は運転手の大道直哉(26歳)。
そこから大谷は新居浜の別子学園(愛媛県立児童自立支援施設)に入るんだったね。」
「そうです。そしてそこで4年間学び、社会人として出発するわけです。
最初に勤務した会社が大阪のABC印刷です。
社長の自宅に住み込みで働くが1年後社長夫人を寝取って駆け落ちします。」
「その後の足取りは不明だが21歳の彼が長野県松本の本屋に履歴書を持って現れるわけだ。岡田信二としてね。」
「2年間務めた後、社員の給料など500万円を盗んで逃走する。彼が23歳の時だ。」
「そしてその金で久永書店を開業し2年目に誰かに撲殺される。
その間も貸金業の奥さんを強請ったり肉体を求めたりかなり人には恨まれていたようだ。
愛人関係にあった牧村直美も人妻だからご主人から見れば憎き相手だろう。」
「彼の過去にさかのぼってここまで分かったがABC印刷の奥さんとの同棲時期が不明だな。」
「それと姉だと名乗る謎の女の事が何も分かっていませんね。」
「彼女はどうして大谷史郎の事を知り得たのか。まさか岡田信二や久永光輝が同一人物だとは知らんだろうね。」
「念のため長野の本屋にそれらしい人が現れなかったか訊ねてみます。」



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