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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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@殺人事件-3

居酒屋でよく会っていた女性が浮かび上がった。
商店街で美容院を営む女経営者、牧村直美だ。
彼女の下駄箱からナイキの24cmスニーカーが発見され捜査本部は色めき立った。
殺害推定時間の22:00〜24:00までのアリバイも不透明なので任意で引張った。
大手スーパーを誘致し集客力を増やそうとする本屋の久永と反対派の肉屋のご隠居達の間で
壮絶なバトルが繰り返されていた。美容室は大手スーパーと競合することはあり得ないので当然久永派だ。
来月の商店街総合会議で賛否がとられる予定だ。今のところ五分五分で見通しは立たない。
おおむね年配者は反対し若い世代は賛成派だ。
その打ち合わせでよく居酒屋であっていたらしい。
夫は「髪結いの亭主」そのもので妻から小遣いをもらってパチンコに興ずるような男で夫婦仲は冷え切っていた。
それに比べて独身の久永はエネルギッシュで男の魅力に満ち溢れていた。
そんな二人が深い関係になるのにそう時間はかからなかった。
警察の尋問にも正直に不倫関係にある事を認めた。
事件当日は仕事の終わった後店の子二人をつれて食事に出掛けた。
その後居酒屋でお喋りして11時位には帰宅したそうだ。
後日の聞き込みで23:00までのアリバイは証明された。
多摩川は釈放する際に直美が漏らした一言が気になっていた。
「私の外にも女がいたような気がする。」
捜査本部は根拠のない女の勘としてこれを無視した。
以前多摩川は妻から「あなた浮気をしているでしょう」と言い当てられたことがあった。
「馬鹿な事言うなよ。俺がそんな事するわけはないだろう。でも何故そう思うんだ。」
「うん。単なる女の勘だけど深入りはしないでね。」確信している様子だった。
その時の妻の話し方と直美の話し方が同じなのだ。
翌日の捜査会議で鑑識からパソコンの内容について報告があった。
死んだ久永にはここ二年で300万円の借入金があった。
借入先は200万円は権藤企画であったが残りの100万円は借入先不明だ。
記載にはただMとのみ記入されている。権藤企画の契約書や領収書はきっちり保管されているが
Mにはそれが無く小さなノートに書いたメモ書き程度のものしかない。
その後の返済記録によりMは違法な高金利で貸し付けているのが分かっている。
しかもここ3か月返済が滞っている。権藤企画には順調に返済されているのだが。
捜査本部は足で稼げとばかりに近辺の聞き込みに熱を入れていた。
「本屋の久永さんの交友関係を聞かれたわ」果物屋の店先で井戸端会議が開かれていた。
「私もよ。親しくしている女友達を知らないか?って聞かれたわ。」
健一の耳にはいろんな噂話が入ってくる。いろんな場所で井戸端会議に紛れ込んでも目立たないのだ。
まだ何も分かっていない子供に見えるからだ。
その日の夜健一の自宅にも刑事が二人訪れた。
「奥さん。本屋の大将知っていますか。」「ええ、よく週刊誌を買いに行きますので知っていますよ。」
「その大将、久永って言うんですけど親しくしている人知りませんか?」
「私に聞いたって言わないで下さいよ。パーマ屋さんの奥さんと居酒屋に入るとこを見たわよ。」
「他にはいませんか。ぼくもなんか知らないかい?。」
「母さん。前に僕に言ってたじゃん。本屋さん誰かと喧嘩していたって。」
「あっそうそう。もう二か月ほどになるんだけど商店街外れの公園で肉屋の若旦那と激しく言い争っていたわ。」
手帳にメモした後「また何か思い出したらここへ電話してね。」名刺を置いて隣家に向かった。
翌朝学校へ着くなり翔太に殴られた。おにぎり3個買って行かなかったからだ。
というより買う金が無かったのだ。母からはもう何度も無心していてこれ以上は切り出せなかったのだ。
必死で校外まで逃げた。自宅で思いっきり泣いた後吹っ切れたように翔太の自宅へ向かった。


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