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愉楽
【SM 官能小説】

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愉楽-8

脱衣場で主人は、タクヤさんの衣服をまるで愛しい女性に触れるように優しく剥ぎ取り、ブリ
ーフを脱がせました。それはわたくしが寝床で主人に着物を剥がれるときよりも、もっと愛お
しさが込められたものでした。腰に白いタオルを巻いた夫はまるでタクヤさんと肉体と交える
ように肌をぴったりと寄せ、いっしょに浴槽に浸かり、洗い場ではタクヤさんの背後から桶で
背中を流し、身体に石鹸をまぶし、わたくしが決してふれることのできなかった彼の肌を掌で
ゆっくりと撫で始めたのです。

ガラス窓から忍び寄る月灯りが湯煙に混じり、タクヤさんの額や頬を照らし、白い裸体の輪郭
を幻惑的に浮かび上がらせておりました。そして主人の肉体がその光の中へ浮遊し、タクヤさ
んの肉体と同化していくような錯覚にさえ襲われました。

主人はまるで女性を愛撫するように掌にふっくらと盛り上げた石鹸の泡で彼の裸体の隅々まで
を包み込み、彼の下腹部から這い下がり、しっとりと濡れた陰毛を掻き分けたとき、ゆるんだ
彼のものがまるで桜貝の果肉ような光沢を放ち、主人の掌で泡をまぶされた亀頭の淵が、仄暗
く光を溜め、どこからか漂ってくる花の香りのような匂いがわたくしの鼻腔を刺し始め、甘い
恍惚感とともに、目の前の憧憬が自分の中を締めつけるように蠢いたのでございます。

桜色のタクヤさんのものは白い石鹸の泡でつつまれ、主人掌の中で喘ぐように蠢き、まるで微
熱を含んだようにまどろみながら朧に溶けていくようでした。淡い灯りの中で主人はタクヤさ
んのものの包皮をゆっくりと指でなぞりながら、根元の垂れた袋を包み込むように掌で弄りま
わしました。

わたくしは、浴室の木戸のすき間から、その光景をはっきりと覗くことができ、恥ずかしいく
らいじっと見入っていたのでございます。タクヤさんの純潔が主人に触れられている……わた
くしが唇に含んだものが……そう思うと、目の前の憧憬が息苦しい焦燥へとわたくしを掻き立
てたのでございます。



その日は、早朝から夏の日差しがとても眩しかったように思います。
木洩れ日が差し込むタクヤさんの離れの部屋で、わたくしの背後からすっと彼の長く白い腕が
わたくしを抱きしめるように伸びてきたのでございます。それはいつのまにかわたくしの後ろ
にいたタクヤさんでした。わたくしの背中にぴったりとからだを寄せた彼から、どこか草原の
花々の息吹を思わせるような甘い匂いがしました。わたくしは彼の腕を拒みませんでした。

遅かれ、早かれ、わたくしはタクヤさんとの関係を予感していたのかもしれません。おそらく
わたくしが夜毎に彼の寝室を訪れていたことに彼は気がついていたのかもしれません。

ナオミさんって、可愛らしい女性ですね……初めて会ったときからそう思っていました、と彼
はわたくしの首筋に息を吹きかけるように囁いたのでした。
わたくしは彼に背後から抱き締められ、まるで恋人のように髪を撫でられたとき、わたくしは
歳を忘れて彼の甘い指先に充たされるようにからだが開いていくのを感じたのでございます。


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