神谷今日子(45)-4
「今さらって感じなんだけど、あたしは女なのよ! みたいな証拠っていうか……足跡っていうか、そういうの残したい気持ちがあって……」
「そんな動機でAVに出てみたりする熟女もいるみたいですね」
「AVは、ちょっと怖いの。世間に出回るし、それに何か、縛られそうじゃない? 業界の仕組み的なものに……」
やはり聡明な人だ。軽々しく冒険に乗り出して、がんじがらめになる愚をきちんと見越して動ける。
「で、たまたま真梨恵から俺のハメ撮りを見せられたと……」
「そういうこと。すっごいエッチな責め方で、見ててキュンキュンしちゃった。そのくせ真梨恵ちゃんのこと大事に扱ってるとこも、また胸キュンよね。真梨恵ちゃんのカメラで撮って、自分はデータ持ってないとか聞いて、信用出来る人なんだって確信したの!」
「そりゃ随分と買い被って貰ったな……俺に頼めば、変な流出とか心配せず、現役の雌として乱れまくる自分の記念が残せる。そう思った訳ですね」
「カメラはあたしの使って、撮ってくれる? 子供たちの運動会ビデオとかに使ってたハンディカムなんだけど、新しいSDカードまで準備してあるから!」
傍らのバッグからコンパクトなビデオカメラを取り出して見せる今日子。すっかり用意済みとは恐れ入った。
「……分かりました。カメラまで準備してあるのなら、今から撮ります?」
「えっ!?」
「今からっ?」
今日子と真梨恵がデカい声で叫んだので、俺は周囲を憚って声を落とした。
「俺んちに連れ込んで、腰抜けるまでハメ倒しますよ。白いの混じったまん毛もどアップで撮って、四十五歳の今だからこそ撮れるはしたない記録残しちゃいましょう」
「あっ……これぇ。きっつい言葉責めで濡れてきちゃう感じ……いいのぉ? 今からっ……エッチしに行って……」
細い眼が潤んで、発情した顔の今日子。
「えーっと……ねえ? あたしはどうなるのかな」
とんとん拍子に進んでしまった話に、取り残された真梨恵である。初対面の俺と今日子を取り持つ重要なキューピッド役だというのに、気がつけば蚊帳の外みたいな酷い扱いだ。
「ああ、真梨恵は帰ってまんズリしとけば?」
冗談で冷たい言い方をすると、マジで泣かれそうになった。
「いやっ……ごめんごめん。マジで申し訳ないけど、俺すっげえ今日子さんとヤル気になっちゃったから。真梨恵にはまた日を改めて、お詫びデートするよ」
「ん。分かった」
スネ気味だが納得してくれたようで、ここでひとまず解散だ。今日子を車に乗せ、いざ俺のアパートへ。
運転中、今日子に向けて、
「まんこ……今日子さんのまんこ舐めてえ〜。ドロドロの四十五歳まんこぉ……」
ずっと呪文のように呟き続けた。
「危ない人みたいだよ〜」
笑いながら今日子はカメラを回し始め、俺のセクハラ発言をしっかり記録した。
「あたしも亮介くんのくっさぁ〜いチンポ楽しみ。雄の匂いプンプンしたデカチンポ思いっきりベロベロしゃぶって精子搾り取っちゃうんだからっ」
「フェラ上手そうだよね。ヤベえな、口だけで瞬殺されそう。ちなみに、下のお口はザーメン禁止かな?」
「ん〜〜? 気持ちよかったら、勢いで中出しOKしちゃうかも」
「マジか……!」
規格外の相手が現れたものだと、俺は驚き半分、喜び半分で空を飛んでいる心地だった。