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俺は他人棒
【熟女/人妻 官能小説】

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上原詩乃(39)&加山絢香(39)-1

「おーじ、こっちこっちぃ!」
 上原詩乃が手を挙げ招いた。
 待ち合わせ時間に遅れてしまったが、店の前までお出迎えとは有難い。
 大手チェーンの居酒屋である。詩乃に導かれ入っていった個室では、茶髪を肩までの長さに揃えた美熟女がジョッキを傾けていた。
「こちらが加山絢香さん」
 詩乃が紹介したので、俺は「よろしくお願いしまーす!」と、スマイリーに頭を下げた。
「よらしく……」
 絢香は小さく返した。
 どう振る舞えばいいか、戸惑っている様子が見えた。それもそうだろう。詩乃の仲立ちによって、セックスするだけの目的で対面しているのだから。

 上原詩乃は、今年で四十の大台に乗る主婦だ。俺がバイトしている定食屋に客として来ていたのに眼をつけてゲットした。
 顔で判断しちゃ悪いが、かなりのヤリマンオーラを出していたため、ひと目見た瞬間から下半身が反応した。
 いざ抱いてみると、やはり遊び慣れており、現在進行形で身体だけのお付き合いをしている彼氏が二人いるという。子供が三人いるが、末の子も小学校入りして余裕が出来たところで好き者の血が一気に活発化したのだろう。
 旦那さんとの接触が減り、欲求不満気味だったのも火遊びに走った原因らしいが、セックスライフが充実しそれが解消されると、夫婦関係のストレスも軽減したとか。第三の彼氏である俺も、円満な家庭生活に貢献しているとすれば結構なことである。
 四十にもなって明るい髪色のポニーテールがやたら似合う詩乃は、小顔のモデル体型。エステにかなり金を使っているようで、しなやかなボディラインが美しい。商社マンの旦那さんが稼いできた金は、俺たちセフレを喜ばせる肉体美メンテにつぎ込まれていると思うと、何だか哀れにも思える。
 垂れ眼のおっとり型な顔立ちをした詩乃と並ぶと、キリッと勝ち気そうなのが加山絢香だ。
 二人は中学時代の同級生で、気のおけない親友として付き合いが続いているという。
 ガールズトーク(って年齢でもないだろうが)で詩乃が明かした火遊びライフに、絢香は大いに興味を示したらしく、かと言って自分で踏み出す勇気が出せず、詩乃が背中を押すべくひと肌脱ぐに至ったのだ。
 そんな後押しはしなくていいと思うのだが、相手役に選ばれた俺としては光栄の一言に尽きる。
 なぜ三人いるセフレの中で俺に白羽の矢を立てたのか。
「おーじが一番遊びまくってて、女扱いが上手いから!」
 とのことである。
 詩乃は俺を「おーじ」と呼ぶ。何にでもニックネームをつけたがる癖があるのだ。もちろん他のセフレにも彼女独特の感性によるネーミングがなされており、それぞれ「ビーチくん」(必ず乳首舐めを要求してくるそうだ)、「金ちゃん」(ゴールドフィンガーの持ち主なのでゴールド=金)と呼び親しんでいるとか。
 ちなみに俺の「おーじ」というのは略称で……
「なんで『おーじ』って呼んでんの?」
 当然ながら疑問に思うのだろう、絢香が詩乃に尋ねた。
「ほんとは『チンカス王子』ってニックネームつけたんだけどね。長いから略して『おーじ』なの!」
 逆に略されなくて本当によかった。
 真相を知った絢香はビールの飲みかけで噎せ、激しく咳き込んだ。


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