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魔へと溺れユく女タチ
【ファンタジー 官能小説】

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セイン・アルバート(前編)-5

翌日から新しい環境での仕事が始り、早くも一週間が経過した。
午前中は僧兵へのマンツーマン指導。
午後はシスターと街の外へ薬草の採取だ。

オレの担当になった相手はどちらも若い。
僧兵の男カロル・バニヤンもシスターであるリナ・ロクテスも歳は15歳。
まだオレも若いつもりだけど、回りが20代にも満たない人達と会話していると自分が老けて見えてくるな。


カロルは僧兵見習い・・・との事だが、まだ肉体も作り込まれていない。
真面目に取り組む姿勢は見せているので指導はしやすいが。
しばらくは走り込みや筋トレなどの基礎訓練をベースに、護身術を教えてやってくれとの要望なので軽く剣の打ち合いくらいか。


対しリナ・ロクテスは・・・。
本当にシスターなのかと疑いたくなるような快活な女の子だった。
信仰心はあるようだが、薬草採取などの下働きには文句が多い。
オレは薬草に詳しくないので森で彼女が採取している間は周囲の警戒くらいしかできないのだが・・・。
その間、ひたすら愚痴を聞かされたり遊びに行きたいだの色々と聞かされる。



「そういえばセインさんはクラリスさんの恋人なんですよねー?よくあんな堅物と付き合えますね−」

「彼氏に向かってそんな事よく言えるな・・・。それに、そんな堅物か?」

「堅物ですよー!この薬草採取でもデキの悪い物持っていったりしたら凄く怒るんですから!」



仕事にも真面目でしっかりしてる・・・という事だが軽い気持ちで仕事する若い人には堅物に見えるのだろうか。
オレは堅物なんて思った事もないので、逆に新鮮な感じだ。

リナはシャリィと同じく長い金髪で、太陽の光を浴びたりするととても綺麗だ。
・・・シスターなのにケープを邪魔くさいとか言って外しているせいで、その金髪をよく眺められているのだけども。

15歳で、歳一つしか変わらないシイナよりもかなり小柄。
性格も相まって元気盛りな女の子だなって感じがする。

同じ金髪のシャリィと並べるとまるで姉妹のようだった。
実際、クラリスへの評価とは相対的にシャリィの事はかなり慕っているようだし。
お淑やかだか色気もある姉と、活発な妹のように見えてくる。



「あーあ、シャリィさんも一ヶ月間なんて言わずにずっといてくれたらいいのに」

「普段は教会にあまり顔を見せないんだっけか」

「月に一度の巡礼の時に顔を合わせたくらいだったんだよねー。その時は近寄りがたい感じだったけど私生活だとかなり親しみやすくてビックリ!」



リナはお淑やかと清楚とか表現されそうな相手が苦手なのかもしれない。
クラリスや以前までのシャリィがそういった雰囲気だったのに対し、それを苦手そうだと言っているし。

それにしても・・・やはりシャリィは雰囲気が変わった気がするな。
リナは私生活での姿を見せてくれているだけと思っているようだが、それ以上に変わった気がするのだけども。

シャリィの仕事は管理人として食事の用意や寮の掃除。
シスターや冒険者としての役割は抑えてい?ので、家庭的な一面や私服で私生活感が前面に出ている。
確かに普段とは違う彼女の一面を見ている気がするがそれだけで解決できないと思うんだよな。



とはいえ・・・そこまで気にしても仕方ないか。
オレと彼女には特に関わりはないのだから。
彼女が管理する寮で世話になっているとはいえ、私生活に踏み込むほど親しい関係でもないし。



「薬草なんかよりハーブとかの方が最近は興味あるんだけどなー。こんなの持って帰ったって苦い薬にしかならないじゃん」

「最近、シャリィさんが花や植物に興味あるんだっけ?」

「うん。色んな綺麗な花や香りの良い花を見せてくれるの。それに比べて薬草はただの緑色の草だし香りも最悪だし・・・」



寮は広くはあるが質素な木造の建物だった。
今回のように特別な配置がされる場合にのみ使われている寮らしく、たまに掃除はしているがまともな管理はされていないらしい。

そこで物寂しいとシャリィが食堂に観葉植物や、風呂場には香りの良い香草を炊いたりするようになった。
知り合いに詳しい人がいるから、それを送ってもらっているだけと言っていたが寮が全体的に華やかになって評判も良い。



「まぁ・・・文句ばかり言ってないでさっさと今日の分終わらせて帰ろうぜ」

「だったら手伝ってよー!」

「・・・この間手伝ったら手間が増えるから止めてって言ったじゃないか」

「使えない薬草持って帰っても意味ないでしょ!仕分ける身にもなってよ!」




どうしろと。
シャリイとリナのような関係ではないにしろ、オレにも我が儘な妹ができた気分だった。
文句言いつつも仕事はキッチリこなしてくれるからまだ救いだけども。

こういうタイプの人は適当にサボったり、雲隠れしてもおかしくないが毎日ちゃんと仕事をしている。
そこだけは評価しないとな。



「分かった分かった・・・。今日も帰りにデザート買ってやるからやる気出してくれ」

「ホント!?いやー、騎士様は話しが分かる!」



現金なヤツだ、と思わなくもないがリナがやる気を出すなら安いくらいだ。
シスターや僧兵は仕事中に買い食いとかはしてはいけない事になってるが・・・。
部外者で担当でもある騎士様に誘われたら関係悪くしないためにも断るワケにもいかないヨネ!とか言って毎日のようにお菓子を食べてから教会や寮に戻っている。

真面目なクラリス辺りに知られたら甘やかすなと怒られそうなので・・・護衛とは別の意味で警戒が必要なのがちょっと辛いが。


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