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魔へと溺れユく女タチ
【ファンタジー 官能小説】

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セイン・アルバート(前編)-6

リナを教会へ送り、先に寮へと戻った。
彼女も同じ寮で暮らしているが、採取してきた薬草の確認や他の業務で時間がかかりそうだし。
・・・ちなみに今日のデザートは和菓子。甘―い饅頭だったよ。



「あ・・・。お疲れ様ですたいちょ・・・セイン、さん」

「・・・流石に慣れてきたから隊長で良いよ。他の連中も隊長とか呼んでくるし」



寮の前の広場でシイナが僧兵の指導をしていた。
僧兵やシスターのスケジュールがオレとは違うので、彼女は午後に僧兵の訓練。
とはいえオレの担当しているヤツと同じく基礎がなっていないので基本は体作りからのようで彼女も暇そうにしていたが。

それにしても・・・やはり隊長という肩書きにはなれないな。
騎士の直属の上司と言えば隊長になるので、他の連中も隊長と呼ぶ方が楽らしくて皆して隊長と呼んでくる。
まぁ・・・気持ちは分からなくもないけど。

おかげさまで騎士だけでなく、僧兵やシスター。それにシャリィにまで最近は隊長さんなんて呼ばれる始末だ。



「では隊長。・・・その、凄く私事になるのですが相談、とかしてもよろしいでしょうか・・・?」

「構わないよ。体動かす事しか脳がない野郎だけどもそれで良ければ」



シイナが担当する僧兵を視界の端に入れながら相談を持ちかけられる。
相談に乗れるほど自分ができた存在なのか自信はないが、こうして頼ってくれているんだ。
可能な限り手助けはしたい。

とはいえ相談って何だ?
訓練メニューの相談なんかはよく他の騎士からも受けていたが、私事ってなると・・・同じ女性のシャリィとかの方が頼りになりそうだが。



「最近、夜になると隣の部屋にいる私が担当するシスターとアレスが逢い引きしているようなのです。深夜になるとその・・・行為に耽る声や物音が響いてきて・・・」

「おおぅ・・・」



アレス、というのはオレ達と一緒に派遣された騎士の一人だ。
態度は軽いが人当たりの良い男性騎士の一人。

確かに・・・それは困るな。
夜中にそんな声がしてきたら困るとしか言いようがない。



「毎日隣の部屋にいるようではないのですが、どうも部屋や場所を変えてるだけで毎日のようにシているそうです」

「そ、そうか・・・。アイツ、手が早いな・・・。無理矢理、とかじゃないんだよな」

「じっくり見ているワケではないのですが、険悪な雰囲気はしなかったと思います」



どうした物か。
別に誰かと恋仲になる事や行為に耽る事を罰する法や決まりはない。
むしろ折角仲良くされているのなら応援してやっても良いが・・・。

場所を弁えろ、くらいしか言えないな。



「・・・分かった。それとなく注意してみる」

「お願い、します・・・」



周りに思いっきりバレてるから注意しろよ、なんて軽く言うくらいしかできない。
厳しい上司だったら任務中に何してる!としっかりと怒るのかもしれないが、オレは正式な上司でもない。

それに寮生活なんてしていると何処か気の休まる暇がないのは確かだ。
雰囲気も良く、人間関係も悪くないが・・・溜まるモンは溜まる。
だから無理して我慢しろとも言いにくいので・・・。
やはり、注意しろくらいしか言いようがないな。


・・・いや。これで良いはずだ。
アレスも男らしく性欲に正直かもしれないが猿じゃないんだから他に気を配るようになるだろ。



「隊長。実はその・・・あと一つ相談があるのですが・・・」

「・・・おぅ。言ってみろ」

「ここではその・・・相談しにくくて。今夜、隊長の部屋に伺ってもよろしいでしょうか?」



相談続きでとても申し訳なさそうな顔をするシイナ。
今度は個人的な相談っぽいな。
シイナには慣れない事続きなので愚痴なんかも溜まっているのかもしれない。

夜中に女性を部屋に連れ込むなんて他に勘違いされそうだが・・・。
可愛い後輩の悩みだ。ちゃんと対応してやらないとな。



「分かった。時間はいつぐらいが良い?」

「いつでも大丈夫ですが、入浴時間などは決まっているので・・・」

「そうだな。風呂はちゃんと入っておきたいし毎日の報告書もあるから・・・それが終わってからが良いな。夜の10時くらいにしておこう」



深夜に恋人でもない女の子を部屋に招き入れる。
やはりどうしても後ろめたいが・・・。

別にやましい気持ちがあるワケじゃない。
下手に同様したりして騒ぎにするのではなく、堂々としていよう。


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